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“危険な世代”とする読書

 長男が今年14歳になったとき、やはり男の子を育てた先輩記者が「人生で一番、危険な季節ねえ」と言った。そうなのだ。最近は子供がらみの事件のたび、被害者だけでなく、加害者になる方も含めて、うちは大丈夫かと思ってしまう。

 心と体のバランスが取れないとき。最初に大人サイズに突入したのは足だった。子供靴売り場は卒業し、24センチは女性靴で済ませたが、紳士靴売り場では数がない。子供用衣類は丈が短く、大人用は腰回りや胸回りがブカブカだ。大人でもなく、子供でもない中途半端で居場所のない世代なのだ。

 書籍も難しい。放置すると、ファンタジーとマンガに偏るが、たまには新しい世界に触れてほしい。藤原正彦さんのエッセーやアーサー・ヘイリーの小説は歓迎されたが、異分野で、もう少し骨太で、子供の喜ぶ本を、と思うと、こちらも相当読んでいないと勧められない。

 そんななか、「さすが!」とうなったのが、明治大学教授、齋藤孝さんが「読書力」(岩波新書)に付した、若者向け文庫百選。「精神の緊張感を伴う歯ごたえのある読書」と言うだけあって、質量ともに読書歴の違いを感じた。

 子供はこの緊張感ばかり読み続けられまいが、昨年には札幌市の本屋さんらによるリスト「中学生はこれを読め!」(北海道新聞)が出版された。こちらは、かなり易しいものも含めて500冊。翻訳物が多かった「ヤングアダルト」の分野は急速に充実し、村上春樹ら12人の「はじめての文学」シリーズ(文芸春秋)も刊行された。

 暴力やいじめや引きこもりと、難しい状態ばかりに焦点があたる世代。かまえばうるさがるし、放置すればすねる。かまい過ぎかと思いつつ、ゴールデンウイークは読む楽しみを共有して過ごそうと思うのだ。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2007/04/27)

 

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