迷惑メールを送ろうなんて、思ってもみなかった。
ある日、社会福祉協議会に「約束成立の連絡」というメールを送ったら、「迷惑メールと間違えるので、今後は件名を変えてください」と、返信が来た。出会い系サイトのお誘いと思われたらしい。
ベビーシッターの人に子供の保育園への送りをお願いしたのを、紹介元に連絡したメールだった。「事務的で、簡潔な件名」と、内心悦に入っていたのに、言われてみれば、いかにも怪しい。気付かず送った自分に失笑した。
編集部にも、意見や感想にまじって、迷惑メールがたくさん舞い込む。これを削除するのが、朝一番の仕事。
すぐにそれと分かれば、開けずに消すが、読んでもらおうとタイトルをつける相手とは知恵比べだ。「〇〇会社総務部」とか、「広報課」とあってHメールなのは、もう驚かない。
「はるかです」というタイトルのメールが記事の感想で、先入観を恥じたら、しばらくして、同じ「はるかです」でアドレス違いのHメールが来たりする。事態は混沌(こんとん)としている。
英文の迷惑メールもある。「あなたは、きっと私が探しているその人よ」なんて言われるのは、なかなかロマンチックで、「料理も掃除も大好きなの」と言われると、私もお願いしたいと思ってしまう。
先日は「サンマの開き」というメールが来た。いたずらとは思ったが、開けずにはいられなかった。
一風変わった中身が読めるかと、すごく期待したのに、ただのHメールだった。それでも、秀逸なタイトルが捨てがたく、削除せずにいたら、同僚女性も「つい、開けてしまいました」と“告白”した。「誰もが開ける、いい路線だったのに、中身が残念だったねえ」と、今も惜しんでいる。(文中仮名)
(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2007/06/01)