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コムスンと自治体の気概

 コムスンが、グループ内で事業譲渡をしようとしたとき、和歌山県知事が「うちでは絶対、認可しない」と言うのを聞いて喝采(かっさい)した。「コムスンなしでも、サービスを確保する」という意志を感じたのだ。

 一方で、看板を変えるだけにもかかわらず、「ほっとした」と、もらす自治体にはガックリ来た。

 コムスンは「サービスが手荒」「介護費用が最大になるよう、伝票を切る」など、批判が根強い。それでも、淘汰(とうた)されずに来たのは、業者のサービスを待っているだけの自治体にも責任があると思うからだ。

 小さな市町村では確かに、サービス確保は容易でない。業者が複数いなければ、競争原理も働かない。しかし、気概のある市や町は小さくたって、住民にいいサービスを提供しているのだ。

 介護保険が始まったころ、愛知県高浜市を取材した。人口約4万人。在宅サービスを提供していたのは、市の社会福祉協議会(社協)だ。社協のサービスは人件費がかさむ。しかし、同市のヘルパーはほとんど時間雇用だった。

 コスト意識も高く、サービスの質も高いから、「大手事業所が進出する話もあったが、立ち消えになった。結果的に独占状態なのが欠点です」と話していた。質の悪い業者は参入できない。介護で知られた過疎の町、旧秋田県鷹巣町(人口約2万人)も、自前のサービスが軸だった。

 自前だけが手ではない。市区町村は、ボランティア団体などをサービス提供者として認めることもできるし、離島などでは、人員配置を満たさない「介護事業者のようなもの」を認めることもできる。

 市場原理に委ねられる都市部と違って、地方の町や村が良いサービスを提供するには知恵も工夫も必要だ。しかし、地方自治体って、そのためにあるのではなかったか。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2007/06/15)

 

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