得ダネ情報 住まい 転職 為替
powered by goo

文字の大きさ:

 
 
 

 

icon

得ダネ情報

 
 
ゆうゆうLife
 

コムスンと介護報酬

 一連のコムスン騒動で、「コムスンは福祉をもうけの対象にした」という批判を聞くと、違和感がある。

 コムスンは株式会社だから、もうけるのは大前提。介護保険に株式会社参入を認めた時点で、一定のもうけを出すことは分かっていたはずだ。

 問題は、もうけが規則にのっとった、適正な範囲だったかどうかだろう。

 コムスンを規則から逸脱させ、あこぎな手法に駆りたてたのは、介護報酬が低いせいだという指摘もある。介護現場の待遇が悪いのも、それが原因とされる。

 しかし、厚生労働省が介護報酬改正前だが、平成16年に行った介護事業の「経営概況調査」によると、ケアマネジャー部門をのぞけば、施設も在宅サービスも黒字。黒字幅が小さい訪問介護、訪問入浴介護しかない事業所は厳しいが、通所サービスなどを併せ持てば、やっていけそうだ。

 確かに、介護現場で働くヘルパーの給与は低い。移動時間の賃金が出なかったり、条件も悪い。

 しかし、コムスンの売却に30社もが名乗りをあげる現実を見ると、現場の待遇が悪いのは、本当に介護報酬が低いせいなのか、疑問を感じてしまう。

 訪問の身体介護は、介護報酬で1時間約4000円。だが、実際に働くヘルパーの手取りは、事業所によって大差がある。格差社会の象徴とされる非正規雇用、時間雇用の問題もありそうだ。数少ない社員の雇用条件も、低い方へ引っ張られてしまう。

 介護報酬は一定だから、事業所が利益や広告費を大きく取るには、人件費などの必要経費を抑えることになる。

 仕事にやりがいがあると、待遇が二の次になるのは、介護現場に限らない。しかし、長く“ボランティア意識”に支えられてきた介護現場では、事業主がその意識を都合良く使ってきた面はなかっただろうか。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2007/06/22)

 

論説

 

 
 
Copyright © 2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.