地下鉄を降りたら、改札口が七夕の笹飾りで華やかになっていた。この時期の恒例で、利用客も短冊をつるしていく。
短冊の1枚に「住民税がなくなりますように」と書かれたものがあった。星に願うにはずいぶん現実的な内容で、思わず笑ってしまった。
先月末、給与明細が配られたときは、職場でも悲鳴がもれた。「あっ」というほど、住民税が上がっていたからだ。
住民税は上がると、それで済まないところが怖い。高齢者が納める介護保険料、介護施設で求められる食費や居住費−。東京23区や、一部の政令市などでは、国民健康保険料も住民税に連動しているから、上がりかねない。
釈然としないのは、年齢や家族構成で生じる税負担の差が、社会保障にもおよび、負担の格差がさらに広がること。
例えば、おのおの150万円の年金を受ける65歳の夫婦は非課税。しかし、無年金の老いた母親をパートで養う娘は、収入が200万円くらいで住民税がかかる。
娘に住民税がかかると、母親の介護保険料も、老人保健施設に入れば食住費も、東京23区なら、世帯の国保料も高くなる。住民税の違いが最終的に、いくらの負担差になって表れるか予想もつかない。
ある自治体で、介護保険の担当者がこうもらした。「負担が重いのは、国がその世帯を豊かだと見なすから。でも、収入の多い方が非課税で、少ない方が課税で、保険料まで違ってくるのを見ると、どうして、こちらが豊かとみなされるのか疑問に思う」
年金課税の見直しで不均衡はいくらか縮まった。しかし、税制は政策誘導で変わる。そのたびに、介護や医療の負担も変わるのは、たまらない。住民税を元に社会保障負担を計算するのは、限界ではないだろうか。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2007/07/06)