買い物カゴの中身は?
仕事帰りの夜半、コンビニエンスストアに寄れるのは、ささやかな幸せだ。日ごろは保育園に寄るので直行直帰。まれに1人で、寄り道ができるとウキウキし、あれこれカゴに入れてしまう。
そもそも、何か買うべき物があるわけではないので、カゴの中身は嗜好(しこう)品ばかりになる。先日はフルーツケーキ、牛乳ドーナツ、フィナンシェなどスイーツばかり、いくつも買っている自分にあきれた。レジに出すのが恥ずかしい。
「夜の買い物」がリスキーなのは、私だけではなさそう。同僚女性(40)が帰りにコンビニで買いこむのは、日本酒と、ドリンク剤「ウコンの力」。アルコールの棚の隣に並ぶ「ウコンの力」に、つい手が伸びてしまうのは、日ごろ、飲み過ぎを後ろめたく思っているからに違いない。
それを聞いた別の女性記者(33)は「恥ずかしくないですか? 私ならレジで聞かれもしないのに、『夫の酒癖が悪くって』と言い訳しちゃいます」。ところが、彼女がコンビニで「ささやかな幸せ」に買うのは、いつも杏仁豆腐とダイエット本や節約本。「格好いい店員さんのレジを避けるのがポイントです」。どちらも相反する要求が、ひとつのカゴに共存しているところがオカシイ。
悪趣味だと思いつつ、スーパーやコンビニで人の買い物カゴをのぞくのは面白い。「買い物カゴの中身を見れば、体形が推測できる」という栄養学の専門家もいるという。
書店でも似たようなことはある。同僚女性は先日、書店で離婚のハウツー本を買う女性を見たという。「レジにたたきつけるように置いて、買っていったんです」。書店では「カバーをおかけしますか?」と聞いてもらえる。コンビニでも、今にはたから中身が見えない買い物カゴが登場するかもしれない。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2007/07/13)