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ホームでの看取りに向けて

 「試写会よりも、審議会が好き」と言ったら、同僚から「変人」と嘲笑(ちょうしょう)された。

 仕事柄、映画の試写会の招待状を頂く。審議会は招待状をくれないが、どちらも、2時間くらいで座りっぱなし。どちらかといわれれば、やっぱり、審議会に出かけてしまう。

 政策決定を前に、医療や介護のエキスパートが制度の使いにくさを指摘したり、同業者への不満が垣間見えたり、現場の雰囲気が伝わってくる。

 先日は、75歳以上の高齢者医療を考える審議会を傍聴した。そこで、看取りを支える医師がこんな話をした。「最近は施設での看取りも増えてきた。しかし、特別養護老人ホームなど、提携する医師のいる施設に、外部の医者が入っていくのは難しい。制度を工夫してほしい」。ホームでの看取りを支えたくても、提携医がいるから診療報酬の請求に制限がある。しかし、提携医が看取りを支えてくれるとはかぎらない。

 ちょうど、この面で有料老人ホームの連載を終え、読者から「ついの住み家と思って有料に入ったのに、がん末期の友人らは退去せざるを得なくなった」と手紙をもらったばかりだった。有料と特養の違いはあれ、高齢者が「ホームで最後を」と思っているのに、支える医師はまだ少ない。

 数年前までは、ホームはついの住み家をうたいつつ、入居者を最後は提携病院に移して、お茶を濁した面があったかもしれない。しかし、診療報酬の変更で、末期の患者を受け入れる病院は減っている。政策の流れは、自宅やホームでの看取りだが、依然、覚悟のできていないホームも多い。

 政策転換で誤算はあったかもしれないが、ついの住み家をうたうなら、ホームはまじめに終末期に取り組むべきだろう。看取りは本来、生活の末にある。制度が万全でなくても、看取りをしてきたホームもあるのだから。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2007/08/03)

 

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