年金論議で今、気になるのは、基礎年金を税でまかなう案。月額6万6000円の年金を、保険料を取らずに高齢者全員に出すとしたら、消費税6%程度が必要という。
周囲からは「それって、まだ取られるってこと?」とか、「で、私の年金は、どうなるの?」なんて声が。で、乱暴だが、こわーい試算をしてみた。
年に手取り400万円のサラリーマンが貯金もせず、すべて消費して暮らしていれば、消費税6%は24万円になる。
現在、サラリーマンが基礎年金のために納める保険料は平均年額、約20万円。企業と割り勘だから、個人負担は約10万円。税方式になれば、14万円の負担増だ。
さらに怖いのは、基礎年金がカットされかねないこと。税でまかなわれる給付は、所得制限がつくのが一般的。基礎年金を税でまかなう豪州、カナダ、ニュージーランドでも、制限がないのはニュージーランドだけという。
中間所得層としては、えーっ、負担は増えて、年金は減るかもしれないのでしょうか?と、おびえてしまう。
一方、企業は約4兆円の保険料負担が浮く。6%の消費税負担は生じるが、遅かれ早かれ、商品価格に転嫁されるのだろうと悲観的になる。
それでも、未納や未加入対策にはなる。今、保険料を納めない人が将来、生活保護にならずに済み、その財政負担の心配が軽くなる。それで良しとすべきだろうか。
やっぱり、「基礎年金を税でまかなうか否か」という理念だけ示されても、賛否は決められない。だれが負担増で、だれが負担減か。年金カットになる所得層は。企業の負担軽減分はどうするのか。気になることは、いつも選挙後でないと分からない。後出しジャンケンみたいに情報が出てくるのは、おかしいと思う。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2007/11/02)