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メタボリックシンドローム 動脈硬化の危険因子は?



 ■多忙、孤独な人は注意

 日本人の三大死因はがん、心疾患、脳血管疾患。このうち心疾患と脳血管疾患を引き起こす主な原因は動脈硬化です。「どうしたら動脈硬化を防げるか」という課題から、「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)の診断基準は作られました。今回のテーマは、動脈硬化の危険因子です。

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 動脈硬化の危険因子とされるものには、診断基準の項目と直接、関係のない因子もある。

 「雑音・騒音」「不安感が強い」「睡眠不足である」などによるストレスも動脈硬化の危険因子。ストレスがたまってイライラしたり、興奮したりすると、血圧が上昇する。やけ食いに走ると、内臓脂肪型肥満になるリスクもある。

 「仕事でせかされる」「上司や先生との衝突」などは交感神経が緊張し、血圧が上がる状況だ。

 仕事に関する因子のうち「共働き」は、外食の機会が増えると、食生活の管理が難しくなるため。「管理者・デスクワーク」「専門的・技術的職業」はストレスがたまりがち、「交代制勤務」は睡眠不足になりがち。「海外労働」は、時差や現地の食事が合わないなどがリスクに。

 病院がなく、医療事情が悪かったり、災害時に援助を受けられる態勢がなかったりなど、社会的な要因も危険因子に挙げられている。「社会情勢が悪い地域」「社会的サポートが少ない」がそれで、町内会など地域の助け合いが得られない環境も含む。

 「人のサポートが少ない」「独身」「離婚経験者」は、孤独で悩みごとを相談する相手がいない状況がストレスにつながる。

 性格・行動パターンでは、「自分の感情を出さない」タイプは、ストレスをため込みやすい傾向がある。「敵意をもつ」もストレスにつながる。「うつ感がある」人は、外出の機会が少なくなりがち。「ひとりよがりでナルシスト」は、ストレスとは縁がなさそうに見えるが、人のいうことを聞かない傾向がリスクに。

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 動脈硬化の危険因子には、生活習慣を見直すことで改善できるもののほかに、高血圧、高血糖、脂質代謝異常を発病させる遺伝子など、自分では改善できないものもある。加齢とともに血管壁は硬くなるし、女性よりも男性の方が動脈硬化は早く進む。

 東京慈恵会医科大学新橋健診センター(東京都港区)の和田高士所長は「40〜59歳で『高血圧』『脂質代謝異常』『糖尿病』の3つを持っている人は、血管硬化度が60〜79歳でこれらが1つもない人と同じで、健康な人より20年分、動脈硬化が進んでいることを、研究で明らかにしました。いずれも発病させる遺伝子があり、自分で改善できない場合もありますが、ほかの危険因子を少しでも減らすことが、動脈硬化の予防につながります」と話す。

 和田所長は、健康を維持する生活習慣として(1)「無煙」(たばこを吸わない)(2)「少食」(3)「少酒」(4)「多動」(5)「多休」(6)「多接」−の6つを挙げる。

 「『多動』『多休』『多接』の“3多”は、体をたくさん動かし、しっかり休める。そして、できるだけ多くの人に会ったり、旅行したり、音楽を楽しんだりしてストレスを発散することです。実践する数がひとつ増えるごとに、メタボリックシンドロームの有病率は減少します。できそうなことをひとつ選んで、実践してみませんか」と和田所長。

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 動脈硬化の原因としては、一般にコレステロールがよく知られているが、ここ20年の研究で、複数の危険因子が重複する状態が問題だということが分かってきた。

 メタボリックシンドロームは、過剰にたまった内臓脂肪がもとで、肥満や高血圧、高脂血症、高血糖などの動脈硬化の危険因子が重複した状態のことで、食生活の管理や運動によって予防することができる。

 診断基準のウエストサイズは、生活習慣の改善で予防効果がある人を振り分ける第1段階。しかし、働き盛りだと「外食が多い」「運動する時間がない」などの理由で、つい先延ばしにしがちだ。まずはストレス解消に、仕事以外の楽しみを増やしてみては。

(2007/01/26)

 
 
 
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