■オフィスでも気軽に
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防には、食事の管理と運動不足の解消が必要です。とはいえ、働き盛りだと多忙を言い訳に、なかなか実践できないのが現実。そんな人を対象につくられたエクササイズ「メタボビクス」から、オフィスでも気軽にできる体操を抜粋して紹介します。
働き盛りの男性に多いメタボリックシンドローム。その原因である内臓脂肪を減らすには、ウオーキングなど、全身運動を10〜20分以上続けて脂肪を燃焼させる有酸素運動が効果的とされる。しかし、時間がかかるため、「忙しくて機会がない」と後回しにしがちだ。
多忙な人でも取り組みやすい運動として考案されたのが、「メタボビクス」の24種類の体操。場所を問わず、1つの体操が1分程度と、短時間でできるのが特徴で、腹部を意識的に鍛え、たるんだおなかを引き締める。
作成した健康運動指導士、菅野隆さんは「ふだん使っていない体幹部の筋肉を動かして、血液の循環やエネルギーの代謝をよくするのがねらい。筋肉を使っている実感がし、終わった後には引き締まった感じがします」と話す。
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両ひざV字リフト体操は腹部の前を縦にのびている腹直(ふくちょく)筋を動かす体操。ゆっくり行うことで、インナーマッスル(身体の内側にある細かい筋肉)が鍛えられる。
おなかペッシャンコ体操は、身体の奧で脊椎(せきつい)を支える腹横(ふくおう)筋を使う。かなりきついが、座ったままや、歩きながらでもできるので、通勤途上のちょっとした時間を見つけて取り組めば継続しやすい。
また、ペンギンおしぼり体操は、肩甲骨と腕をつなぐ筋肉を鍛える。肩の動きをなめらかにすることで、体幹部が連動して動くようにする。この体操を続けることで、二の腕が細くなる効果が見られた人もいたという。
菅野さんは「日常生活にはトレーニングの機会がたくさんあります。通勤途中に10分だけでも、ひざを曲げたり伸ばしたりしてスクワット的な歩き方をするとか、電車で座っている間、足を閉じているだけでも効果があるので、ちょっとした時間を見つけて取り組んでください」と勧めている。
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メタボリックシンドローム対策は、国民的な課題となっている。政府の「新健康フロンティア戦略賢人会議」(座長・黒川清内閣特別顧問)がまとめた今後10年の健康戦略では、メタボリックシンドローム対策や糖尿病予防の推進など、病気の予防を重視。「メタボリックシンドローム克服力」や「介護予防力」など9分野を、国民自らが取り組んでいくべき分野とした。
背景には、中高年齢層における生活習慣病の増加や、要介護高齢者の増大など、一人一人が健康について問題を抱えている現状がある。
生活習慣の改善は、本人が意欲を持たなければ困難だ。自分自身の健康のために、できることから始めたい。
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「メタボビクス」の各体操は、メタボリックシンドローム撲滅委員会(委員長=松澤佑次・住友病院院長)の公式サイト「メタボリックシンドローム・ネット」(http://metabolic−syndrome.net/)で順次、紹介される。
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≪両ひざV字リフト体操≫(腹直筋)
(1)いすの座を両手で持つ(2)両足をそろえたまま、息を吐きながら、両ひざを棟まで5秒かけて引き上げる(3)5秒かけて戻す。10回程度、繰り返す。
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≪おなかペッシャンコ体操≫(腹直筋)
(1)息を吐きながらお腹をへこます(2)息を吸いながら、さらにお腹をへこます(3)3〜5呼吸の間、吐いても吸っても、どんどんおなかをへこませながら(1)と(2)とを繰り返して呼吸する。
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≪ペンギンおしぼり体操≫(腕・背部)
(1)両腕を伸ばした状態で拳を固く握り、後方にできるだけ高く上げて、両腕をできるだけ近づけた状態を保つ(2)両腕を内側と外側へ交互に最大限にねじる。1秒程度のテンポで10回程度、繰り返す。
(2007/04/27)