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メタボリックシンドローム

「メタボ・ナビ」の入力画面


生活習慣病の発症確率を表示する画面



 ■進む医療関連機器開発

 内臓脂肪をターゲットにした医療関連機器の開発が進んでいる。国の生活習慣病対策として、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健診・保健指導が来年度から全国で始まるためだ。健診の対象者は40歳から74歳までと広く、新たな市場に企業も注目している。

 新しい保健指導は、対象者がそれぞれのリスクに応じて行動目標を設定できるよう、個別に行われる。健診結果を渡す程度では済まなくなったが、特定健診・保健指導の実施を義務付けられた市町村や健康保険組合の多くは個別指導のノウハウがない上、指導を行う保健師の人数も限られている。

 市町村や健保組合を支援するため、東京都は6〜8月、健診・保健指導の計画策定や実施体制づくりに向けた研修を行う。全国約1500健康保険組合のうち、約600組合が本部を置く東京都だけに、規模が大きく、延べ約2000人が参加する予定だ。

 今年度後半には、現場で健診や保健指導を行う専門職向けの技術的な研修も予定している。

                   ◇

 こうした事情を背景に、日立メディコでは受診者の生活習慣病リスクがひと目で分かる保健指導用ツール「メタボ・ナビ」を開発した。健診結果の数値や生活習慣を入力すると、同じ生活を続けた場合に糖尿病などを発症する確率が画面に表示される。

 「高脂血症を発症する確率73%」「健康的な人の3・9倍のリスク」「発症しているため表示できません」といった情報が表示されるので、心当たりのある人なら、スリルを感じるシミュレーションだ。

 同社は「リスクを視覚に訴えることで、生活習慣を改善する動機付けにつながる」(メディカルIT事業部)と説明する。

 ゲーム感覚で使えるが、東京慈恵会医科大学などが蓄積した男女約2万4000人分の健診データが元になっており、信頼性は高い。「メタボリックシンドロームが一般に知られる以前から測定されていた腹囲の貴重なデータ」(同)があるため、メタボリックシンドロームの5年以内の発症割合を表示できるのも、特徴のひとつだ。

 リスクと同時に改善項目も表示される。例えばたばこを吸う人が「たばこを吸わない」をクリックすると、健診結果の数値が同じで、非喫煙者の発症確率も提示される。画面を見れば、たばこを吸うか、吸わないかでリスクの差がはっきり分かる仕掛けだ。

 価格は約350万円。健診センターでの活用を想定しているが、スポーツクラブ数社も関心を示している。

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 特定健診では腹囲測定が新たに追加されるため、内臓脂肪測定装置の開発も盛ん。

 例えば、大阪大と花王、松下電工が共同で開発中の装置は、一般家庭などでも体脂肪計測に用いられる方法を腹部に適用する。ベルトのような装置を腹部に装着し、微少な電流を流す簡便な測定法だが、精度の高いCT(コンピューター断層撮影法)測定とほとんど同じ精度のデータが得られるという。

 CTによる内臓脂肪測定は、コスト面などから大人数で受ける健診に不向きなため、メタボリックシンドロームの診断基準では、内臓脂肪量を判断する指標に腹囲が使われている。CT測定より簡便で、腹囲より精度の高い測定機器が登場すれば、ニーズはありそうだ。

 医療関係者の間では、「生活習慣病対策で最も難しいのは、食事の管理や運動不足の解消に取り組む動機付け」といわれる。せっかく健診を受けても、結果の数値を受け取るだけだと、リスクが分かりづらく、生活習慣の問題も見えにくかった。健診・保健指導の内容が大きく変われば、健康に無関心ではいられなくなるかもしれない。

(2007/06/28)

 

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