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メタボリックシンドローム  




 □生活習慣の改善・運動編

 ■自分を知り、無理をせず

 心筋梗塞(こうそく)や糖尿病などの生活習慣病につながる恐れのあるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)。予防には、食事の管理や運動不足の解消が必要だと広く知られるようになりました。しかし、改善方法が分からないとの声も上がります。特に運動は「時間がない」などと後回しにしがち。今回は、運動について「国立健康・栄養研究所」運動ガイドラインプロジェクトリーダーの宮地元彦博士に聞きました。

 内臓脂肪を減らすには、軽く息が弾む30分程度の運動(速歩など)を週5日以上行うか、1日の歩数を3000歩増やす必要がある。

 運動というと難しく感じてしまうが、宮地さんは「余暇時間に行うレジャーやスポーツだけでなく、日常生活上の家事や労働といった生活活動も含めて身体活動を増やすと、広くとらえてください」とする。

 昼休みや通勤時間を利用して、5分単位の歩行を何度も行い、歩いた時間を積み上げていく。家事をすることで体を動かす。こうした活動も、身体活動に含まれるという。

 取り組む際には、いきなり運動を増やすのではなく、まず自分の運動や身体活動、心理的準備の状況を把握することが大切だ。人によって運動に対する意識や実践のレベルが異なるので、レベルに応じて始めなければ、長続きしないだけでなく、けがなどにつながる可能性もある。

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 宮地さんは「運動・身体活動のステージは、おおむね5つに分類できる」とする。

 「準備」ステージの人は、「通勤用の靴を歩きやすいものにする」「運動の道具を手近な場所に用意する」など、運動するきっかけとなるものを身の回りにちりばめる。その上で、「速く歩くよう心がける」「毎週土曜日は仲間とテニスをする」などの具体的な目標を立てる。

 「実行」ステージの人は、運動が習慣になる大事な時期。「準備」に移行してしまわないよう、自分が実践していることの価値を信じ、継続することが大切だ。1日1万歩を実践している人なら、そのおかげで「歩くことがおっくうでない自分」「健康を維持している自分」を自覚し、1週間単位で自分へのごほうびを考えるなどして、倦怠(けんたい)感を予防したい。

 「熟考」「前熟考」の人は、自分が抱えている問題を知ることが不可欠だ。

 内臓脂肪がたまる原因について、宮地さんは「仕事や家庭などの社会的な要因、ストレスなどのメンタルな要因、性格など本人の要因−の3つがある。本人には分からない場合もあるので、来年度から始まる特定健診・保健指導は、自分の問題を知ってもらう機会になる。“運動できない自分”を否定しないよう、本人だけの責任ではないと伝えるべきです」と指摘する。

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 例えば、いまの50〜60歳代は自動車の普及や、その後の携帯電話、メールの普及などで社会が大きく変わり、日常生活の中で歩く機会が減った。男性だと、家庭では家事は妻任せ、職場ではお茶くみ、コピー取りは女子社員任せで、体を動かす機会が少なかった人も多い。

 また、食べる物も戦後、欧米化。仕事の面でも、60歳で定年退職した後も再雇用される人が増えたものの、新たな環境に適応するのが難しく、ストレスを抱えるケースも少なくない。こうした社会的、精神的要因に、本人も気づいていない場合もある。

 メタボリックシンドロームの該当者や予備軍は「熟考」「前熟考」の人がほとんど。宮地さんは「まず、自分の問題を知ること。知らないと心が動かない。心が動かなければ、行動が変わらず、体が動かない」と話している。

(2007/08/24)

 

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