得ダネ情報 住まい 転職 為替
powered by goo

文字の大きさ:

 
 
 

 

icon

得ダネ情報

 
 
ゆうゆうLife
 

人間ドック最前線 選ぶ人・選ばれる技術(上)

ホテルのロビーのような東京ミッドタウンメディカルセンター=東京都港区


 ■高額OK、高まるニーズ

 高齢化で、将来、2人に1人ががんになる時代が到来すると予測されています。こうした状況の中、働き盛りのヤングエグゼクティブや、社員の健康管理に熱心な企業を中心に、高額ドックへの関心が高まっています。(北村理)

 首都圏では働き盛りの30〜40代の会社員の間で、高級健診がブームの兆しだ。

 大手企業に勤務する30代のキャリアウーマンは「私たちの年代で病死するのはがんが多い。長引いた不況や成果主義でストレスを感じる若手、中堅社員が増えている」という。

 この女性は取材当日も、「知人ががんで亡くなり、これから葬儀に参列する」と話した。

 傾向に配慮してか、女性の会社は社員の健康管理に熱心だ。結核対策を主眼に、企業に義務づけられた「法定健診」を衣替えし、30歳以上の社員に人間ドックを奨励している。がん対策と言っていい。提携先に最先端の健診機関を並べ、受診すると、社員に健保組合から補助が出る。

 健診機関のランクが上がれば、費用も上がる。補助を超える額は自己負担だ。

 女性が選んだのは、都内のがん専門病院の健診。費用は約7万円で、いったん全額払うのも、自己負担も痛かった。しかし、「一番、質も良さそうで、高い所を選んだ。苦痛の少ない丁寧なサービスと、最先端のがん検診にはかえられない」という。

 女性は30歳のとき、別の健診機関で初めて人間ドックを受診した。が、対応の悪さや健診の苦痛で、数年間は健診から遠ざかってしまった。3年前から、この健診機関で毎年受診している。

                   ◇

 女性が受診した癌研有明病院健診センターは2年前、お台場に移転。以来、土地柄か20〜40代の受診者が増加したという。最先端の医療はもとより、施設の明るい雰囲気と、接客トレーニングを取り入れるなど、受診者層拡大の努力が実った格好だ。

 若手受診者の多くは、働き盛りの会社員だが、なかには、「成人の記念に」と、受診する人もいるという。

 背景について、高橋寛センター長は「若い受診者は、周囲にがんで亡くなった人がいるケースが多い。がん患者が増えている証拠でもある。健診機関として、がん対策の精度を上げていく必要がある」と分析する。

 個々の受診者の熱意が高まっているだけではない。冒頭の女性が勤める企業のように、従来の法定健診の枠を超えた取り組みをする企業も目立ってきている。高橋センター長は「明らかに、社員のがん対策を念頭に置く会社も増えている。『がんだけが心配だ』と毎年、熱心にドックに通ってくる一流企業の会社員もいる」という。

 熱心なだけに、こうした受診者に異常が見つかっても、進行したがんは少ないという。

 内視鏡はもとより、ヘリカルCT(コンピューター画像診断)を使う一般コース(6万5000〜10万円)、20万円近くかかるPET(陽電子放射断層撮影)との併用コースなど、最先端のサービスを受けているからだ。

 高額とあって、受診者は大企業のエリート社員を想像しがちだが、中小企業からの受診もある。「会社の規模より、経営者の意識の差が見られる」(高橋センター長)という。

                   ◇

 若手起業家のメッカとして知られる六本木ヒルズに近い、東京ミッドタウンには今春、「東京ミッドタウンメディカルセンター」がオープンした。

 同センターは、がん治療で名高い米国のジョンズホプキンス大学病院と提携し、米国のセレブ御用達の血液検査を導入した。同ビルの高級ホテルを利用した220万円の超高級宿泊ドックなどで話題を呼んでいる。

 1日ドックは5万円からだが、都心に住む30代を中心に、予約は11月ごろまでいっぱいになる人気ぶりだという。

 理由は、六本木の高級ショッピング街やホテルという立地条件に加え、女性を意識し、ソフト面を充実させたことにありそう。週1回の「女性の日」には、「医師はもちろん、レントゲン技師も女性。院長もこの日はドックゾーンへの立ち入りは避ける」という徹底ぶりだ。

 癌研やミッドタウンの例は、高級健診をセールスポイントにしたというより、「受けたいと思われる健診を目指した」結果といえそう。これまで健診を敬遠していた若者や女性のニーズを発掘したといえる。

 癌研の高橋センター長は「がん検診は先端技術を利用するため高額になりがち。だが、受ける人が増えれば増えるほど、競争が激しくなるため質は上がり、価格は下がる」と、積極的な受診を呼びかけている。

(2007/08/27)

 

論説

 

 
 
Copyright © 2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.