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【ゆうゆうLife】どうする介護? 団塊世代らの座談会

 □親の面倒は子供が… 自分たちのときには?

 ■勤めていたら無理/現場の声を行政に/ボランティアしやすく

 今年の「主役」のように注目を集める団塊の世代は、年老いた親の世話や自身の将来を真剣に考える世代でもあります。介護をめぐる現状や課題をどう考えているのか。4月に創刊される50歳以上を対象にしたフリーマガジン「B&G・Network」に参加するメンバー5人に、語ってもらいました。(構成 寺田理恵)

 ◆毎日が“戦争”

 A子 団塊の世代より下の50歳です。両親をみています。

 いまはNPO法人で活動していますが、3年ほど前に、会社を介護退職せざるを得なかった経験があります。「二度と会社に戻れないぞ」といわれましたが、勤めていたら、親を介護できないのが今の実態です。

 介護保険は独居の高齢者には手厚いけれど、同じ家に住んでいたら、家事援助はだめ。見守りもだめ。普通の企業には勤められません。

 B男 60歳です。母を介護した後、ヘルパー2級の資格を取得し、親類の介護もしました。

 介護福祉士の養成学校の実習で特別養護老人ホームに2週間行ったとき、毎回の食事が戦争のような状態で、毎日シフトで入る職員の大変さが分かりました。職員の待遇を見直さなければ続かないと思うのですが、人件費は下がる一方。このままでは、団塊の世代が介護を受けるときには破綻(はたん)すると思います。自分たちの世代が受ける介護を自分たちで決めるために、みなさんと連携したいと思っています。

 C子 55歳です。ケアマネジャーとして働いていましたが、今は都内でよろず相談室を開いています。

 介護保険は、要介護度に応じて利用するということで始まったのに、同居の家族がいるかどうかが問われ、ケアマネは書類の山に埋もれています。現場を知らないと分からないことを、声に出して言わないといけない。財政が逼迫(ひっぱく)したから「あれはだめ」「これはだめ」だと、本来の目的から遠くなっていく気がします。

 D子 昭和22年生まれ、団塊真っただ中の59歳です。10年ほど前から地域事業の支援をしています。

 寿命が50年で終わった時代とは違い、自立できる人生を若いときからデザインしていく心構えを、まず持たないといけない。介護の渦中にある方は惨憺(さんたん)たる状態ですが、それを変えていくのは、現場からの声だと思います。

 ◆精神的ケアを

 E男 58歳です。早期退職し、ある会社の顧問として、リタイアされた方の再就職のお世話をしています。

 わが家では女房がヘルパー2級を取りました。というのは、私の両親は滋賀県で2人暮らし。田舎なので、親の介護は子供がするという考え方です。定年後は、介護のために田舎へ帰る必要が出てくるんですよ。われわれ団塊世代は両親の介護をすべきだと考えていますが、子供たちは違うのではないかと思います。

 B男 介護には精神面の介護もあります。世代が違うと話が合わない。ところが、70歳の知人が特養でパート勤務して、入所者の話に心優しく相づちを打っている。同じ世代による精神的ケアも考える必要があります。

 C子 精神的なケアができるかどうかは、世代というより、その人の生き方かなと思います。ただ、若い方の場合はイメージがわかなければ、どう介護すればいいか分からないということはあります。感性と想像力がないと介護はできないと思っています。

 ◆身近な担い手を

 A子 ゴルフや海外旅行を楽しんでいた人が、退職後にヘルパーをして長続きするかというと難しい。問題はボランティアのやり方です。

 B男 現場に行ってみて、何かお手伝いができるかという発想になってほしい。米国にはボランティアをコーディネートする人がいるが、日本には間に立つ人がいない。ボランティアがあいている時間を提供するシステムになっていないので、のっぴきならない状態に引っ張り込まれ、離れられなくなるのではないかと思って引いてしまう。

 E男 ヘルパーの資格がないと、特養ではボランティアができない。何をするにつけてもヘルパー資格が要るんですよね。もっと身近な介護というのでしょうか、そういうNPO法人を立ち上げれば、相当、需要がありますよ。

 D子 手をにぎってあげるだけのボランティアがいたっていい。団塊の世代は時間も体力も情報収集力もあるので、生かさない手はない。現状をいい方向に変えていこうとメッセージを出し続けないといけない。

 C子 発言をたくさんしていくことは、確かに必要だと思います。お正月に窓口が休みになるなど、行政が最後の部分でやらなければならないところを、やらない。いま無料相談室を開いていますが、「夫を殺したくなった」といった相談があります。そういう相談者の声を行政に伝えていきたい。住民が一番、強いのだから、住民が声を上げていこうと取り組んでいます。

(2007/02/21)

 

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