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夢を見させないで−老人ホーム入居者の嘆き(番外編) 

写真はイメージです


 ■「ついの住み家とは何なのか」 「サービス実行」監視求める声

 7月23〜27日付連載「夢を見させないで 老人ホーム入居者の嘆き」にたくさんの反響をいただきました。読者投稿から浮かび上がったのは、有料老人ホームを選ぶ難しさや、入居後のケアへの不満です。

 東京都世田谷区の主婦(62)は母親のために有料老人ホームを探している。高額の入居金がかかるのに、情報が少ないのが悩みだ。「どうして入居金に幅があるのか疑問です」とする。

 叔母の1人が15年前に入居した都内のホームは入居金約4000万円。もう1人が昨年入った神奈川県のホームは約1000万円だった。しかし、毎月の費用や受けるサービスは、ほとんど変わらないという。

 サービス内容や経営状況など、知りたいことは多い。しかし、「情報の手がかりは、ホームのパンフレットや説明か、うわさくらい。どこのホームも、案内や説明はていねいですが、マンションと違って情報は少ないし、簡単に転居もできません」と迷う。

 実際に入って、サービスの違いに驚いたという声も。母親が介護付き有料老人ホームに入居している岡山市の主婦(51)は「今のホームは2カ所目ですが、120%満足しています。最初の所はもうけ主義の最たるもの。認知症の母をみていてくれるとは、決していえるものではありませんでした」とする。

 何カ所も見学し、気に入った所に予約を入れ、空きを待つ間、医療法人が母体のホームに入った。「病気になったときに心強い」と考えたのだ。ところが、「風邪だろうが、歯茎の痛みだろうが、目の内出血だろうが、(専門外でも)自分の所で処理してしまいます。私が『病気になったときは、かかりつけ医に連れていきます』とお願いしていたにもかかわらず。そして、いつも事後報告」と不満が募った。

 1カ月後、予約したホームに空きが出て、転居した。「今の施設には、感心しています。外からの人には手洗い、うがいを徹底し、風邪の時期には使い捨てマスクも配布されます。報告会では『こんな失敗があった』と、あまり言いたくないだろうことを主におっしゃいます」と違いを強調する。

                  ◆◇◆

 最も問題になるのが、介護が必要になったときのサービスの質だ。

 静岡県熱海市の元会社役員(75)の男性は、2年暮らした介護付き有料老人ホームを昨年6月、退去した。引き金になったのは、末期がんの友人が退去を余儀なくされたこと。「友人2人が相次いで息子さんや兄弟の世話で人生を終わることになりました。日ごろ『世話になりたくない』と言っていただけに残念でした。ついの住み家とは何なのか」と疑問を投げかける。

 そのホームは職員の入れ替わりが激しく、介護居室のベッドも規模の割に少なかった。要介護状態になっても、十分なケアは受けられないと思った。「介護の充実をお願いしても、『早急に充実します』『介護棟を建築します』『(非常駐の)医師を常駐にします』などといっておしまい」と記す。

 男性は現在、看護師が常駐する高齢者向け賃貸住宅に暮らす。「介護サービスは内部で」というタイプから、「介護サービスは外部から」というタイプに移り住んだわけだ。「介護が必要になれば、在宅サービスが利用できる。これで十分。元気なうちに、大金を払ってホームに入る必要はない」が、実感だ。

                  ◆◇◆

 第三者機関による介護サービスのチェックを求める声もあった。横浜市に住む元会社員の男性(64)は「単身者にとって、有料老人ホームは終末期を迎える有力候補。だが、全財産をはたき、退路を断って入居するのに、体力が落ち、認知症が出たとき、約束通り、介護や看護がされるのか」と懸念する。

 定年後、有料ホームの資料を集めたり、イベントなどにも出向いた。しかし、「問題は介護状態になった後。実態を知るには、体験入居でも限界がある。ましてや、家族もない単身者が認知症になったら、業者のしたい放題になるのでは、と恐怖感があります」という。そのうえで、「体力も落ち、言葉も思うようにならなくなってから、『話が違う』と訴えるのは難しい。サービスが契約通り行われているのか、行政や民間が定期的に監視、調査することが必要。業者の良識だけに期待するのは無理がある」とする。

 有料老人ホームは介護保険の導入後に急増し、行政の監視が行き届かないのが現状。認知症高齢者の急増に、専門的な知識や技術をもつ人材育成が追いつかない面もある。いったん高額の入居金を払って入ると、退去も難しくなる。入居する側も、介護の質や、医療機関とどう連携しているかを、綿密に調べることが必要と言えそうだ。

(2007/08/03)

 

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