産経新聞社

ゆうゆうLife

【ゆうゆうLife】編集部から 介護のつらさ文章で“昇華”

 連載の取材で、自宅で家族を介護する介護者たちに話を聞いた。「早く死んでもらいたい」という言葉を聞いてつらくなり、「この世から消えたい」というご家族に会って、胸が締め付けられ、ついには胃痛に悩まされた。

 第三者である記者がこれほどつらいのに、実際に介護と向き合うご家族はさぞ、と思っていたところ、介護ブログ(インターネット上の日記)に出合った。

 「介護 ブログ」で検索すれば多くのブログにヒットする。重度の認知症になったり、寝たきりで死が差し迫っていたり、要介護者の状態は深刻なのに、いずれもその状態を受け入れ、愛情いっぱい、介護をしているようで心が軽くなった。

 突然、介護と向き合うことになった人生を笑いとばす介護者たちの強さや余裕も垣間見える。悲しんだり、落ち込んだりする心のもやもやを、文章にして発信することで“昇華”しているように見えた。

 「介護がつらい」という取材先のご家族も、多くは同時に喜びを感じ、相反する気持ちに揺さぶられていた。だが、その気持ちが実は、介護のやりがいでもあるのだろう。

 在宅介護でやりきれぬ気持ちになったら、ブログにぶつけてみてはどうだろう。いつのまにか、日常を笑い飛ばせるようになるかもしれない。(清水麻子)

(2008/07/25)