産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から 家事力が左右する介護負担

 「うわあ、きれいな部屋ですね」。「独身男性の母介護」の取材で、母を介護する伊藤隆之さん(48)のお宅を訪れ、思わず声をあげてしまった。

 ほこり1つなく、すっきり片づけられている。伊藤さんいわく「不要な物を捨てれば、物が少なくなり、自然と掃除や整理整頓も早くなる。昔から母と一緒に家事をしてましたから」。

 料理も得意という。中学時代には、自力で豚肉のショウガ焼きを作っていた。洗濯も苦ではない。Yシャツのアイロンがけもお手の物。介護に悩んだこともあった伊藤さんだが、今は煮詰まらずにこなす。

 一方、母親に家事のすべてを頼ってきた男性は、介護に直面すると、きつい介護にさらに家事ストレスがかかる様子。ハードルをひらりと乗り越える背景には、家事能力の有無がありそうだ。

 話は母介護に限らない。「介護は要らないが、家事が苦痛だからヘルパーを」という声は、高齢男性からもよく聞く。将来、介護施設には今以上に入れなくなるだろう。家事能力のない男性は(女性も)、せめてこなせるようにしておかないと、困るに違いない。

 最近、会社に自作のお弁当を持参する男性、いわゆる“弁当男子”が増えているという。子供が中、高校生になったら、男女に限らず、月1回くらい、自力で弁当を作らせよう。そう思った連載取材だった。(清水麻子)

(2009/03/13)