産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から ラーメン代と介護利用料の違いは?

 介護報酬引き上げの取材をしていて、ある大学の先生から、こんなたとえ話をされた。

 「いつものラーメンが100円値上がりした。店主に理由を聞いたら、『今月からパートさんでなく、ラーメン作りの経験豊富な従業員を増やすことに方針転換しましてね』といわれたら、納得できますか?」

 「う〜ん」と、うなってしまった。腕利き職人が作った品と聞けば、期待は高まる。しかし、この不況下、前と同じ味だったら納得できない。明日は外食しないかもしれない。

 介護保険サービスの利用料が今月から変わった。月額利用料がかなり上がる人も少なくないが、値上がり分は、ヘルパーの待遇改善をはじめ、介護福祉士やベテランヘルパーを増やすことに使われるという。しかし、それが明日から“味”、つまり質の向上につながるものでもなさそうだ。

 厚生労働省は「将来的に、サービスの質が利用者に還元されるので理解してほしい」と説明する。介護サービスの質が変わらないのに…と、納得がいかない人も多いだろう。

 介護保険が保険料で運営される以上、質を良くするための値上げはやむをえない。しかし、国や事業者には、ぜひとも利用者がサービス向上を実感できるよう、がんばってほしい。利用している人は介護サービスなしには暮らせない。「高いから、や〜めた」とはいかないのだから。(清水麻子)

(2009/04/17)