【相談】夫は長年勤めた会社を定年後、再就職し、66歳まで働く予定ですが、今の雇用先では退職金は出ません。5年ほど前に住宅金融公庫から、10年返済、金利2.7%で1000万円の住宅ローンを組みました。残金は約500万円ですが、繰り上げ返済したほうが良いのか、貯蓄を崩さずに持っていた方がいいか迷っています。
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【回答】お金の面だけをドライに考えれば、残っている住宅ローンの500万円は全額繰り上げ返済するのが、お得だと思います。完済すれば、ローンの利息が5年分浮くのはもちろん、年払いで払っている団体信用生命保険の保険料も、払う必要がなくなります。さらに、借りるときに10年分支払った保証料も、残り5年分については返還されるはずです。
ですが、お金の面だけでドライに割り切れないのが、高齢期に入ってからの繰り上げ返済。伊藤さんのご主人は、再就職先の退職金は出ないとのことですので、500万円を繰り上げ返済に使ってしまうと、在職中に減った貯蓄分を取り戻すのは難しくなります。高齢期に貯蓄が一気に減ることに、抵抗を感じる人も少なくないと思います。
そこで伊藤さんの場合は、200万円ほどを繰り上げ返済に充て、残りの返済期間を2年に短縮してはいかがでしょうか。たとえば、残りの住宅ローン額が300万円だとすると、月の返済額を3万4000円ほど増やせば、返済期間を3年間短縮して2年返済にできます。現在、月に10万円の貯蓄ができているので、3万4000円の返済額アップも、ご主人の在職中なら可能だと思われます。
2年後、ご主人がリタイアするときに住宅ローンの支払いがなくなっていれば、貯蓄はできなくなったとしても、赤字を出さないやりくりもできそう。また、返済額をアップした後の2年間も、今のペースで家計をやりくりすれば、200万円の繰り上げ返済分を取り戻すのは無理でも、100万〜150万円くらいは貯蓄を増やせると思われます。
老後資金については、あればあるほど安心かもしれませんが、現在の貯蓄額に満足するのも大切なこと。増やすことが難しい時期にさしかかってから、「いくらあれば安心か」と考えても意味がないからです。伊藤家にとっては、今ある貯蓄を減らさない工夫をすることが、老後資金に対する不安感を軽減する唯一の方法ではないでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 畠中雅子)
(2007/01/15)