【相談】
男の子が2人いますが、二男が10年ほど前から仕事をせず、自宅にいます。心の病気を抱えているため、この先も定職に就くのは難しいと思います。長男は結婚し、家庭があるので、財産をできるだけ二男に譲りたいと思います。遺言書作成を検討していますが、ほかに、できることはあるでしょうか。
【回答】
法定相続分に従わず、親の思う通りににお子さんに財産を譲りたい場合、遺言書作成は欠かせません。ですが、今回のようなケースでは、遺言書を作成しても、その通りに執行されるとはかぎらないのではないでしょうか。相続が起きたとき、ご二男に異議を申し立てる能力がなければ、ご長男の意思が強く反映される可能性もあるからです。
まず、親が高齢期の生活費として取りおく金額から考えましょう。ご主人が亡くなり、遺族年金になると、ご主人のお小遣い分がなくなっても、赤字気味の家計になります。現在、貯蓄から固定資産税なども捻出(ねんしゅつ)されているので、1000万円程度はご夫婦と奥様の生活費に取っておきたいものです。
残る5000万円をお子さんに譲るお金の上限額と考え、その一部でお子さん名義の個人年金保険に加入する方法もあります。一例ですが、約900万円支払うと、ご二男は60歳から20年間、月に5万円の年金を受け取れます。年金の合計額は1200万円になり、支払った保険料が300万円ほど増やせます。ご二男が障害年金の対象でなくても、65歳から国民年金を受けられれば、個人年金保険とあわせて、基本的な生活費はまかなえるのではないでしょうか。
ただし、お子さんに貯蓄や収入がないと、保険料を贈与とみなされる可能性があります。そこで、保険料は毎年、贈与税がかからない年間110万円以下で、年払いしていく方法も考えられます。
ご長男に何も残さないのは現実的でないので、ご長男のためには、親が終身保険に加入されてはいかがでしょうか。一時払いで保険料を支払い、ご長男を死亡保険金の受取人にして、それだけで相続は我慢してほしいと伝えるのです。ご長男に残せる金額が少ないことを、遺言書だけでなく、直接伝え、理解を求めることも必要でしょう。
また、家の建て直しもご両親が健在のうちに、検討された方がよいでしょう。ご二男が一人残されたとき、賃貸収入を得られるように、賃貸併用住宅に建て直す方法もあります。いずれにしても、遺言書だけに頼らず、ご二男が多めに相続できるよう、保険などを利用した相続プランを立てておくことをお勧めします。(回答 ファイナンシャルプランナー 畠中雅子さん)
(2007/11/19)