産経新聞社

ゆうゆうLife

アパートを建て替えるべきか



 【相談】親から引き継いだアパートのおかげで、年金生活の今も何とか暮らせます。食費などの生活費が多いのは、息子が要求する物を買うからです。相談はアパートの件。建物が老朽化したこともあり、4世帯のうち2世帯が退室。なかなか次の借り手が決まりません。一度も働いた経験のない息子が家にいるため、息子の将来のためにアパートを建て替えるべきか、売却するか悩んでいます。

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 【回答】今回は、ご相談者本人というより、息子さんの将来を見据えたご相談です。不動産を売却するか否かは、資金面でも重要なポイントですが、お子さんにどのくらいコミュニケーション能力があるかを判断材料にした方が、後悔は少ないと考えます。

 鈴木家の貯蓄なら、すぐにもアパートの建て替えができそう。建て替えれば、貯蓄はいったん減りますが、家賃収入で再び増やすこともできますし、不動産業者と空室保証付き(空室の際も家賃の一定額を受け取れる)の契約も結べそうです。

 ですが、このタイミングで建て替えると、息子さんが高齢期に入って再度、建て替えか売却かを検討すべき時期が訪れます。その時点でご両親が亡くなられていたら、息子さんがひとりで対処しなければなりません。

 その際、「信頼できる建築業者を見つけられるか」「手持ちの貯蓄で、建て替えが可能か」「家賃をいくらに設定するか」「家賃保証や空室保証を付けてくれる不動産管理会社を探せるか」など、課題は多く、社会経験のない息子さんには荷が重いのではないでしょうか。

 そこで、しばらくは家賃収入を確保し、賃借人が全員退去した時点で、アパートを売却された方が、将来の不安要素は少ないように思います。相続したアパートを売却すると、譲渡所得が発生しそうですが、申告なども、ご両親の代で決着した方が安心でしょう。アパートを売却すれば、手持ちの貯蓄が増えます。これを活用し、贈与税の基礎控除にあたる年間110万円以内で、継続して息子さん名義の金融商品を購入する方法も検討されては。時間をかけるほど、まとまった資金を息子さんに無税で贈与できます。

 息子さん名義で、個人年金保険に加入する方法もあります。国民年金では不足する生活費を、個人年金保険で準備するのです。保険料は贈与した資金を利用して払い、息子さんが60歳以降、あるいは65歳以降に分割して受け取れるようにするのがポイントです。

 不動産価格が低迷している時期の売却は、効率的な土地活用とはいえません。しかし、息子さんの生活設計を優先して考えると、引き継ぎを軽くした方が、ご両親の不安は軽減できると思います。(ファイナンシャルプランナー)

(2009/01/12)