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利用しきれない第三者認証 

 前回、病院や診療所を評価するひとつの視点として第三者認証を考え、そのひとつとして財団法人「日本医療機能評価機構」を紹介した。もうひとつの第三者認証は、ISO(International Organization of Standardization)である。

 ISOは産業界が重視する国際規格である。ISO9001(品質マネジメントシステム)の導入により品質向上を目指す企業が増えていて、4万件を超える認証がある。

 ISOは病院のみならず、診療所でも認証を行っているし、品質を保証する9000の認証だけでなく、環境を保証する14000の認証もある。読者の皆さんはこちらのほうがなじみがあるかもしれないが、実は、患者さんではそうでもなかった。

 筆者らはこの2006年5月に、第三者認証について患者さんにアンケートを行った(ISO審査会社NQA−J実施、株式会社日本LCA協力、54%が現在通院中)。

 1262人の回答があり、18%が医療機関に対する第三者認証を知っていて、うち、医療機能評価を知っている人は68%、ISOは13%、両方が19%であった。これは、医療関係で認証を受けているのは、多くが医療機能評価であることが原因と思われる。

 問題はこの情報が患者さんにうまく利用されていないかもしれないことである。このあたりの判断は難しい。医療機能評価のHPを見ても、患者さんには難解かもしれず、むしろ医療の世界での自浄作用を期待する面がある。

 とはいうものの、医療機能評価の認証を受けている病院を知っているかどうか、ではイエスが31%、ISOを受けている病院を知っているのが14%、ISOを受けている診療所を知っているのはわずかに3%であった。

 なお、「あなたが医療機関を選ぶ際、第三者評価を受けていることを考慮しますか?」という問いに対しては、「考慮する」が54%、「参考にする程度」が43%であった。多くが見ているのである。

 しかし、これらの評価は、医療機関の構造や、医療の過程がうまく動いているかを評価するものである。評価の決め手になりえないのは、自分の病気に対する診療科ごとの腕の評価たりえていないことであろう。(医学博士 真野俊樹)

(2006/09/07)

 
 
 
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