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医師は勉強が嫌いか?(2)

 ■勉強会は勤務時間外

 専門医だとか免許の更新だとか、難しい話に入る前に、そもそも医師は不勉強なのかどうかを考えてみよう。もちろん、統計などがあるわけではないのであくまで個人の意見として。

 実は、わたしは医師として製薬企業に勤務したことがある。このとき、企業では勉強をする時間が、勤務時間内に与えられていることが驚きであった。

 それまでの病院勤務では、医師というものの仕事は患者の診療であって、勉強は夜とか土曜の午後や、日曜日にするものと思っていたからだ。これはわたしがまじめであったとかうそを言っているのではない。実際、医師仲間の勉強会は土曜日の午後、平日の夜に多い。まれに日曜日もあるくらいである。

 企業に勤務している方は、もちろん家で仕事したり勉強したりすることはあるであろうが、日曜日に外に出て行って勉強するというのは少ないのではないだろうか。

 では、医師の勉強は十分なのかといえば、そうではなさそうだ。ちまたには医師の勉強不足によると考えられるトラブルが多くみられる。

 なぜだろうか。一つはそういった勉強会が役に立たない、ということが挙げられよう。よく医師が行くということで、診療を休診にしている学会であるが、これも勉強会としては役に立つものと役に立たないものがまざってしまっている。

 簡単に言えば、きわめて高度な最先端の考え方を紹介する学会や勉強会の場合、一般の医師はその話を聞いても、分からないし、極端に言えば分かる必要もないかもしれない。むしろ、明日の診療や、そこまで現実的ではなくても身近な話題がほしいのだ。

 最近、DVDで、開業した医師の方による分かりやすい診療技術の紹介ものが売れているという。これなどは、その現象を端的にあらわしているのではないだろうか。

 一方では、新しい診療科目が日本では認められにくい。また、大学でも新しい分野を教えない。さきほどまでの話と矛盾するのではないかと思われるかもしれないが、そうではない。新しい分野、たとえば、抗がん剤の治療や、人生の終末期を預かる緩和ケアといった新しい時代の要請の学問は、なぜか医学部ではあまり教えていないのである。(医学博士 真野俊樹)

(2006/09/28)

 
 
 
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