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医師資格 民間より重い国のお墨付き

 まれに無免許の医師が診察や手術を行ったことが明らかになり、世間を騒がすことがある。騒ぎになるのは、「無免許医師は困る」との意識があるからだろう。

 資格とは、ある専門性の高い業務を行う場合に、その人が業務を行うに十分な能力を有することを、国とか、特定の団体などの第3者が認めた地位のことだ。

 以前にこの連載でも触れたが、「第3者」というところが肝心だ。自らが認めても、だれからも信用が得られないだろう。分かりやすく言えば、「あなたはこの仕事をするのに十分な能力があります」と公に認めてもらうことが、「資格がある」と言うのである。

 そもそも医師の仕事は、人に危害を加える可能性をはらんでいる。もし、医師以外の人がメスのような刃物で人体を切開したりすれば、犯罪となり、刑法上の責任を問われる。

 医師による医療行為は、刑法35条の「正当業務行為」に該当するとして、違法性はないと考えられ、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と規定される。

 医療行為について、医師の賠償責任が発生するのは、過誤(医療ミス)により損害が発生した場合に限られる。このように、医師免許は法に基づく国家資格なのである。

 一般的に、専門能力が不十分な人が勝手にその仕事をしてしまうことで、他人に危害を加えたり設備を壊すといった社会的混乱を与える可能性のあるものは、主に国がその資格を定め、有資格者だけにその業務を行う許可を与えている。つまり「資格がないとその仕事をしてはいけません」ということだ。

 当然、違反した場合は罰せられるので、免許がない医師は本当の医師になりえず、罰せられるのである。

 一方、民間の団体による認定(資格)というのもある。医師で言えば専門医(資格)がこれにあたる。

 認定(分野によっては検定の場合もある)は、上述した資格と似ているが、違いはその効力が絶対ではないことだ。

 つまり、「認定を取ったからといって、認定者だけに許された仕事はない」し、「名称独占、すなわちその名称は資格保持者しか使えない」といった、資格保持者にとっての有利さがない。逆に、医師免許にはこの有利さがあるのだ。(医学博士 真野俊樹)

(2006/10/05)

 
 
 
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