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技術と倫理と資格

 引き続き、医師に必要な要素について考える。前回は医師資格によって医師が行えること、すなわち「権限」があることなどを述べた。

 法的にも医師や医療機関と患者さんはそれぞれ契約関係にあり、最終的な結果を保証するわけではないが、そのプロセスには責任を持つ。

 さらに、医師は職業人としての倫理も重要だ。場合によっては、倫理あるいは職業人としての規律があれば、法律がなくても十分だという見方もありえるだろう。

 医師にとっては技術こそが重要だとの考え方もある。病気を治す、人命を救うことが医師の中心的な使命である以上、この言説に一理ないわけではない。

 ここで思いだすのは、自ら医師でもあった故手塚治虫氏が描いた漫画「ブラック・ジャック」だ。昭和48年から約10年間にわたり「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に連載された人気作品で、ご存じの方も多いだろう。

 ブラック・ジャックは超一流の外科医だ。だが、医師免許もなく、治療費も法外な額を請求するので、すばらしい倫理観を持ちあわせているともいえない。

 なのに、外科医として圧倒的に優秀で技術力があるがゆえに、患者に頼りにされる姿が描かれている。

 インターネット上の百科事典「ウィキペディア」を参考にすれば、ブラック・ジャックが医師免許を持たない第1の理由は、肩書やルールを好まないからだという。作品の中で、ブラック・ジャックは「私は肩書というものが苦手でね」などと語る場面がある。

 第2に、免許を取り、医師連盟に加盟すると、高額の医療費を取れないと考えていることがあるという。

 ただ、実際にはこのようなことはない。保険診療で医療を行うならば、あらかじめ決められた額しか患者からとれないことは事実だ。しかし、自由診療で医療を行うならば、高額な料金を請求することも可能だからだ。

 漫画の世界の事例ではあるが、医師の資格について考えさせられる作品といえるだろう。

(医学博士 真野俊樹)

(2006/10/12)

 
 
 
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