今週から3回に分けて「専門医」について考えてみたい。
国家試験に合格した医師は自分の専攻したい科目を自由に決めることができる。また、開業する際の標榜(ひょうぼう)科目も選ぶことができる。
ただ、これだけでは客観性が乏しく、「心もとない」との声もあり、専門医制度が設けられている。
この制度は国家資格ではなく、第三者が認証する仕組みだ。少々分かりにくいが、専門医制度は2段階になっており、まず、医学の専門家からなる「学会」が、専門医を認証する。
その認証が適切に行われているかどうかを、「日本専門医認定制機構」が認定する。このように、2重のチェックを行って、多くの学会が認定する専門医はいい加減なものではありませんよ、と示そうとしているのである。
同機構が定義する「専門医」はこうだ。5年間以上の専門研修を受け、資格審査ならびに専門医試験に合格していること。そして、学会などに認定された医師が専門医と定義される。
主な専門医の認定数は▽日本内科学会の内科専門医8180人▽日本小児科学会の小児科専門医1万1437人▽日本産科婦人科学会の産婦人科専門医1万1999人−などとなっている。
最近、医師の数が少ないと問題化している小児科や産婦人科でも、必ずしも専門医の数が少ないわけではないことが分かっていただけるだろう。
専門医といえば、外科手術が行われる分野がもっとも気になるところだ。例えば、日本心臓血管外科学会の心臓血管外科専門医数は1643人。
イメージをつかめるよう、その申請資格をみると、▽日本外科学会認定医、あるいは外科専門医または外科専門医筆記試験合格者▽卒後修練期間7年以上▽修練期間中に別に定める手術経験があること▽心臓血管外科学に関する一定の業績(学会発表、論文発表)があること−などとなっている。厳格に定められているといえそうだ。(医学博士 真野俊樹)
(2006/11/09)