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医師免許更新で事故は減るか

 世の中の動きが激しい時代になり、一生涯、安泰ということはなかなかないのだろうか−。教育界では教員免許について更新制の論議があるが、医師免許についても同じく、論議の俎上(そじょう)にある。今日のテーマは、医師免許の更新についてだ。

 アメリカでは医師免許を管理するのは政府ではなく各州だ。おのおのの州には医師免許を管理する「ボードメンバー」があり、医師や医師以外の人(主に住民)がメンバーになり、医療事故を防ぐという目的を持って医師免許のレビューを行う。

 メンバーの医師は、アメリカ医師会の州部会が任命することが多いが、医師の代表ではなく、あくまで住民を守るために選ばれている。

 たとえばペンシルベニア州では、医師免許は2年ごとの更新制だが、CME(日本でいう生涯研修)は必須ではない。実際に診療するためには、病院からの許可と医療過誤保険への加入が必要で、これらの取得更新にはCMEが要求される。大学の教員としての資格再認定にもCMEが必要である。医療過誤などを起こしていると、免許の更新ができないことがある。

 つまり、米国では免許の更新制になっているが、医療過誤などの大きなトラブルを起こしていなければ、CMEを受けることで原則的に更新ができるので、更新自体はさほど難しいわけではない。

 日本では、医師免許には更新という考え方がないので、極端なことを言えばいったん免許を取ってしまえば、その後はまったく勉強をする必要がないといえる。

 「それでは困るのでは」ということもあって、更新制が議論されているのだが、現実には米国と同じように「講習をしっかり受けなさい」という形に落ち着くだろう。

 免許の更新制を取り入れれば、事故を何度も起こす「リピーター医師」を排除することはできるかもしれない。しかし、おなじ更新制の米国でも医療事故が多いことを考えると、更新制を導入したからといって、医療事故防止への効果がさほどあがると思えない。

 むしろアメリカでもそうだが、この連載でも詳述した「専門医制度」が医療の質の担保としては重要ではないだろうかと思う。(医学博士 真野俊樹)

(2006/11/30)

 
 
 
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