得ダネ情報 住まい 転職 為替
powered by goo

文字の大きさ:

 
 
 

 

icon

得ダネ情報

 
 
ゆうゆうLife
 

便秘と大腸がん、因果関係は?

 便秘気味だと大腸がんになりやすいのではないか−との仮説がある。食べ物などに含まれる発がん物質が腸内に長くとどまるためだとされるが、本当だろうか? われわれのコホート研究で、便通と大腸がんの関係を調べてみた。

 研究対象地域に住む男女約6万人(40〜69歳)について、便通の頻度と便の状態についてアンケートを実施。その後約10年の大腸がんの発生率を比較した。

 まず男性で、便通が「1日1回」と答えた約2万人のうち大腸がんになった人は223人いた。「1日2回以上」の約5000人では58人、「週2、3回」の約2000人では22人だった。

 年齢、喫煙、飲酒など大腸がんに関係する他の条件が、結果になるべく影響しないようにして大腸がんリスクを比べた。

 すると、「1日1回」の人の大腸がん発生リスクを1とした場合、「1日2回以上」で1・03倍、「週2、3回」で0・97倍となり、大腸がんのなりやすさは変わらなかった。女性でも、それぞれ1・14倍と0・78倍で、やはり差はなかったのである。

 大腸がんの影響で便通の回数が変わっていた可能性を取り除くため、追跡開始から2年目までに発生した大腸がんを除いて同様に調べた。しかし結果は変わらなかった。

 「便秘の人は大腸がんになりやすいのでは」と考える人もいるが、この集団ではそのような因果関係を裏付ける結果にはならなかった。便秘気味とはいえ、「週2、3回」の便通があれば、大腸がんになりやすいと悩む必要はなさそうだ。

 次に、便の状態について、下痢便▽軟便▽普通▽硬い▽下痢と便秘の繰り返し−の5つのグループで、大腸がんの発生率を同様に比べてみた。

 すると、直腸がんについては、下痢便のグループで男女ともリスクが高くなるように見えたが、追跡から2年目までに大腸がんになった人を除くと、関係が弱くなった。

 ということは、下痢だから直腸がんになったのではなく、直腸がんが下痢を誘発していた可能性が残る。この点に関しては、今後さらに研究していく必要がある。

 ただ、便通が週1回など深刻な便秘や下痢が続く場合は、大腸がんに限らず何かの病気かもしれないので、やはり病院で診てもらうべきだろう。

 (国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/01/25)

 
 
 
Copyright © 2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.