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有用な健康情報とは

 健康をうたうと商品に付加価値がつく。ダイエット関連は特に、だ。また、がん予防とか、治療といった広告も多い。がんになりたくないという気持ちを逆手にとり、がん予防をうたうテレビ番組や雑誌記事が山のように作られる。

 全部とは言わないが、多くは、役に立つ情報というより、むしろ話題性を売るという目的に力点が置かれている。専門家が見れば、科学的なレベルはすぐに知れるが、一般視聴者がこうした情報に踊らされないためには、発信者の意図を見抜く、生活の知恵としての疑り深さが必要だ。

 「ある食べ物が、ある病気を予防した」という内容でも、さまざまな研究対象や方法が用いられている。まず、経験談とか権威者の意見だけで、科学データを引用できない内容は論外だ。ヒト細胞を用いた試験管内実験や動物実験の場合は、科学的であるが、その結果がそのまま人間にもあてはまるわけではないと考える冷静さが必要だ。

 人間集団を対象とした疫学研究の場合、その結果が現実をとらえている可能性が高い。さまざまな研究方法の中で、無作為化比較試験が最も信頼性が高い。次いでコホート研究、症例対照研究、地域相関研究が続く。そしてその順に、結果を得られるまでの費用・時間がかかる。

 また、原則として1つの研究だけを根拠に予防のための行動をとるのは危ない。信頼のおける科学記事でも、一般にメディアでニュースとして流れる医学情報の多くは新発見だ。この種の情報は、その後の追試で確認されないことも多い。だから、その新発見が後続の研究でも確認された、あるいはされなかったという情報の方が、実生活へ応用するには役に立つ。

 予防研究者の間では、すでに出版された論文をもとに、一般に役立つ情報を発信する作業も行っている。その際、「数多くの疫学研究が一致して予防効果を示し、その中に複数のコホート研究、できれば無作為化比較試験が含まれており、その作用メカニズムに関し生物学的に説明可能である場合」に限って、予防効果は“確実”としている。

 現段階でがん予防のために確実とされるのは禁煙をはじめ限られたものしかない。この連載でも主に確実か、あるいは、それに近い内容を紹介し、もっと研究が必要な段階であれば、そう付け加えるようにしている。

 (国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/03/08)

 

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