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飲酒と心筋梗塞

 がん、脳卒中と並んで三大疾病に数えられる心筋梗塞(こうそく)だが、日本人では魚を食べる習慣が関係してか、欧米人に比べ発症率がかなり低い。

 前回、脳卒中には、タイプによって少量の飲酒が予防的に働くことがあるが、全体として1日当たりの量を1合までに抑えたほうが良いと述べた。

 今回は飲酒と心筋梗塞について述べる。フランスから、赤ワインを飲めば飲むほど心筋梗塞が防げるという報告があり、その真偽やメカニズムが専門家の間で議論になっていた。

 しかし、もともと欧米では、赤ワインに限らず適度なアルコール摂取で動脈硬化が予防され、心筋梗塞による死亡リスクが4〜6割低くなることを示す疫学研究が多かった。特に、赤ワインというわけではなく、エタノールそのものに、善玉コレステロールであるHDLを増やす作用や、血液を固まりにくくする作用があり、心筋梗塞を予防すると考えられている。

 ところで、日本では、お酒を飲むとすぐ顔が赤くなるタイプの人が約半数いる。このタイプの人は、欧米にはほとんどいない。赤くなるタイプでは、たくさん飲む人で心筋梗塞リスクが高いことを示す先行研究があり、欧米とは違うパターンという可能性があった。

 そこで、われわれのコホート研究では、飲むと「赤くなる人」と「赤くならない人」に分け、飲酒量をエタノール換算で合計し、量による急性心筋梗塞の発症リスクを比較。その結果、赤くなるタイプでもならないタイプでも、飲酒による心筋梗塞予防効果は変わらなかった。そして欧米の多くの研究と同じように、飲酒量が増すほどリスクが低くなる傾向が確認された。

 そうはいっても、大量の飲酒で脳卒中、がんなどになり、寿命前に命を落とすリスクが高くなっては、元も子もない。健康で長生きするための日本人にとっての適量とは、飲んでも1日当たり日本酒にして1合程度というラインは譲れない。

 実際問題として、いったん飲み始めたら1合では止まらないという人は多いだろう。その場合は、1日1合を1週間7合と置き換えて、例えば3合飲んだ次の日とその次の日は、アルコールを飲まないことにすればよい。いわゆる休肝日を採り入れるのである。その根拠となるデータを次回お示しする。

(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/04/12)

 

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