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体形と死亡リスク

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 前回、日本の中年男性は、太っているより、やせている方ががんのリスクが高くなることを述べた。しかし、糖尿病などのように、やせていればいるほどリスクが低くなる病気もある。今回は日本人の体形と健康全般との関連を考えてみたい。

 われわれのコホート研究では、肥満指数(BMI)が1増すごとに、2型糖尿病のリスクが17%高くなった。また、肥満は動脈硬化などを招くメタボリックシンドロームの重要な構成要素とされている。

 しかし、どの体形の人が、総合的に健康といえるかを最もよく表す指標は総死亡率だろう。われわれのコホート研究で、男女約4万人(40〜59歳)をBMIでグループ分けし、その後10年の総死亡率を、BMI23・0から24・9の標準体形グループと比べた。

 男性の場合、やせている方では、BMIが23を切ると総死亡率が上がり始め、BMI21・0〜22・9で1・3倍▽同19・0〜20・9で1・6倍▽同14・0〜18・9で2・3倍になった。一方、太っている方では、BMIが27以上でリスクが上がり始め、同27・0〜29・9で1・4倍▽同30・0〜39・9で2倍になった。

 つまり、男性では、体形と死亡のリスクのグラフは、BMI23・0〜26・9を底辺とし、それよりやせていても太っていてもよくないというU字形カーブになった。

 女性では、男性よりも底辺が広がり、両端の最もやせているグループと最も太っているグループでリスクが高くなった。BMI14・0〜18・9で2・0倍▽同30・0〜39・9で2倍。ただ、統計学的にもう少しで有意という部分を含めると、BMI25以上で、死亡リスクが上がり始める傾向はみられた。女性の方が、男性よりも早い段階で太りすぎの問題が生じる面があるようだ。

 総合的な健康の指標を総死亡率の低さとすると、糖尿病や高血圧などやせているほうが有利という疾患がない限り、中年男性は広めに考えて「BMI27を超さず、21を下回らない範囲」が健康的と考えられる。中年女性の場合は「BMI25を超さず、19を下回らない範囲」である。

 日本では、栄養不足などやせ過ぎによるデメリットも、太り過ぎによるデメリットとともに、見過ごせないというのが現状だ。(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/05/10)

 

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