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野菜・果物とがん

 野菜・果物やその成分は、がんに予防的というイメージがある。抗酸化作用や体内での発がん物質解毒作用などによって、がん予防効果のメカニズムが説明でき、実験室レベルでは結果も出ている。しかし、人を対象に野菜・果物の摂取量別に、がんの発生リスクを追跡調査する「コホート研究」ではっきりとした結果が出ているわけではない。

 世界保健機関(WHO)の行った食物・栄養要因とがん発生との関連についての科学的証拠に基づく評価でも、野菜・果物は口腔(こうくう)、食道、胃、結腸、直腸のがんのリスクを下げる「可能性が大きい」という評価にとどめている。リスクが下がるのが「確実」という項目は、運動と結腸がんの関係だけだ。

 われわれのコホート研究では、これまでに、野菜・果物の摂取量と、胃がん、肺がん、大腸がんとの関連について調べた。

 胃がんについては、野菜でも果物でも、ほとんど食べないグループと比べ、週に1日以上という非常に低いラインからリスクが下がった。ニンジンやカボチャなどの黄色野菜では24%、ハクサイなどの白色野菜で52%、果物では32%の低下がみられた。

 大腸がんのリスクとの関連は、やはり、野菜でも果物でもみられなかった。他の研究結果もあわせて考えると、野菜や果物の大腸がん予防効果はあってもわずかで、節酒や運動の効果に勝るものではないのだろう。肺がんリスクとの関連も、野菜でも果物でもみられなかった。肺がん予防には、まず禁煙である。

 また、日本人を対象に行われた研究を系統的に集めたデータから、野菜・果物とがんとの関連について、専門家で評価した。その結果、果物による胃がん予防は「可能性が大きい」、野菜による胃・肺がん予防は「可能性あり」だったが、他の部位やがん全体に対する予防効果を評価するには「データ不十分」だった。

 野菜・果物のがん予防効果は、思ったほど大きくはないようだが、胃がんや食道がんの予防につながる可能性は大きい。また、循環器や糖尿病の予防につながることは間違いない。逆にたくさん食べたら病気のリスクが高くなるというデータもない。やはり、野菜・果物は毎日の食生活の中に取り入れて、不足しないように心がけたい。(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/09/13)

 

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