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イソフラボンとがん

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 大豆製品、特にその成分であるイソフラボン類の摂取は、体内のエストロゲンの働きなどに影響することが知られている。そのため、乳がんや前立腺がんなどのホルモンの影響を受けるがんに対する予防効果や、反対にリスクを上げる可能性が予想される。

 イソフラボンといえばまず豆腐やみそだが、これらはわれわれ日本人が日常的に慣れ親しんだ食材である。日本人は欧米人と比べて大豆製品の摂取量が多く、同時に乳がんや前立腺がんの発生率が低いことが示されている。

 そのような状況で、一定の対象集団を長期にわたって追跡する「コホート研究」では、イソフラボンの摂取量によってどのような差が見られるのだろうか。特に大豆の摂取量が多い日本人での結果に注目が集まった。

 われわれのコホート研究では、大豆製品(豆腐、油揚げ、納豆など)、みそ汁、そして、それらの摂取頻度と量から推定したイソフラボン摂取と乳がんリスク、前立腺がんリスクの関連を検討した。

 乳がんについては、大豆製品との関連は明らかでなかったが、みそ汁とイソフラボンでは摂取量が最大のグループで他のグループよりも乳がんリスクが低いことが分かった。特に、閉経後女性ではイソフラボンの摂取量が多いほど乳がんリスクが低くなり、最大グループでは7割の低下が見られた。

 一方、前立腺がんについては、イソフラボン類の摂取は前立腺内にとどまる限局がんに予防的であったが、みそ汁の摂取が前立腺を越えて広がる進行がんのリスクを上げるという複雑な結果となった。その傾向は、61歳以上の男性で特に強くなった。進行がんへの作用の詳細については、今後さらに検討を重ねて確認する必要がある。

 イソフラボンについては、欧米とアジアでの食習慣の差によって、乳がんや前立腺がんの発生率の差が生じるのではないかと昔から指摘されてきたことが、疫学研究でも確認された形となった。いまだに人の集団で確認された科学的根拠の数は少なく、十分とは言えないが、われわれのコホート研究の対象集団では、日常の食事からのイソフラボン類の摂取が、乳がんや前立腺がんのリスクを下げる可能性が示された。

 しかしながら、進行前立腺がんのリスクとなる可能性もあるので、サプリメントなどにより大量にとることは控えるべきであろう。(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 津金昌一郎)

(2007/09/20)

 

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