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有料老人ホームの探し方(下)

 ■介護の内容、コスト確認

 ■重要事項説明書の入手を

 有料老人ホームを選ぶ際に、地域や価格、生活スタイルで絞り込んでいくのは、一般の住宅を購入するときと似ています。大きな違いは、生活支援や介護などのサービスが付くこと。しかし有料老人ホーム業界は急成長した分野だけに、サービス内容や料金は分かりづらい部分が多いのが実情です。後悔のないよう、細かくチェックする必要があります。(寺田理恵)

 「見える所は立派でも、介護の現場が陰の部分として存在します。車いすに座らせたままにする『抑制』や、認知症の人がオムツを取ってしまわないように、つなぎを着せるケースはめずらしくありません」。首都圏のある有料老人ホームで働いた経験をもつ女性が話す。

 平成12年に介護保険が創設されて以来、有料老人ホームは新規参入が相次いだ。行政の監視体制が十分とはいえず、サービス内容や料金はホームによって違うこともあって、介護や費用をめぐるトラブルが少なくない。

 約300ホームが加盟する「全国有料老人ホーム協会」(東京)の苦情処理委員会が毎年、期間限定で開催する「有料老人ホーム110番」では、非加盟ホームに関する相談も行っている。

 「週3回の規定通り入浴していないようだ」「病院への付き添いは別途費用がかかるのか」「ホームが十分な水分補給をさせていない。食事対応がなおざり」。こんな苦情が入居者の家族から寄せられるが、「(入居者本人)になにかあったら困る」などと心配し、ホーム名を明かさない家族もいるという。

 ほかに行き場がなければ、家族は苦情を言いづらく、口をつぐみがちだ。自宅を売却して入居金に充てた場合、ホームに不満があって退去しようにも、資金面で難しくなる。契約を結ぶ前に、納得がいくまでチェックしたい。

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 条件に合うホームをある程度絞り込んだら、パンフレットや重要事項説明書を取り寄せて検討し、現地を訪ねる。重要事項説明書は、各種のサービス内容や料金、職員体制などを記載した書類で、自治体ごとに書式があるのでホームの比較がしやすい。

 「見学時はパンフレットや重要事項説明書に書かれていることを実際に確認する機会。パンフレットでは分からない雰囲気や、入居者の話、スタッフの言動も見聞きできる。さらに体験入居でじっくり確かめたい」と全国有料老人ホーム協会の松岡昭任顧問。

 パンフレットに書かれている駅からの距離や周辺の環境が事実かどうか歩いて確かめ、協力医療機関を実際に見にいく。

 「見落としがちだが、慢性病にかかっているのに協力医療機関にその診療科目がなかったり、あっても週1回しか医師が来なかったりといった事態もありうる」

 介護サービスをどこで受けるのかは、重要な問題だ。一般居室から介護居室へ移るのか、介護が必要になったらホーム以外の場所へ移るのか。その場合、居室の権利や入居金の精算は−。

 同協会は、見学時にチェックすべき項目を一覧にした「見学記録表」を作成した=入手方法は写真説明を参照。料金や雰囲気、健康管理・介護、生活サービスなどの49項目を挙げ、記入例も示している。例えば「介護サービスを提供する職員体制」の項目だと、記入例は「介護職員○人、看護職員○人、夜間○人」。「居室の清掃・洗濯」なら「管理費内週1回、それ以上1回清掃500円・洗濯800円」など、初心者でも注意点が分かるように工夫されている。

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 「居室の清掃・洗濯」のように管理費に含まれたり、追加で徴収されたりするサービスは、重要事項説明書に一覧表が添付されている。例えば、あるホームでは、食堂ではなく居室に配膳(はいぜん)・下げ膳する場合、自立者だと1回137円かかるが、要介護1の人なら介護保険に含まれるなど細かく記載され、資金計画の参考にもなる。

 重要事項説明書の事前入手については「国民生活センター」も今年3月に公表した「有料老人ホームをめぐる消費者問題に関する調査研究」で、有料老人ホーム選びの注意点の一つに挙げ、「申込金や入会金を払えば見せるというようなホームは避ける」としている。必ず理解しておきたい書類だ。

 有料老人ホームに対しては老人福祉法の改正で、提供するサービス内容や費用負担などの情報開示、倒産などに備えた一時金保全措置の義務化など入居者の保護が図られ、「終(つい)の住み家」として関心が高まっている。

 公的な施設と違い、有料老人ホームは入居する側が条件に合わせて選べる住まいだけに、探す手間を惜しまないようにしたい。

(2006/09/06)

 
 
 
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