Q「20歳前障害基礎年金」正しいのは?
【出題】20歳になる前に障害を負った3人の方が、障害基礎年金の話をしています。正しいのは誰でしょう?
Aさん 子供のときの事故で障害があり、「20歳前障害基礎年金」を受給しています。
Bさん 就職後、19歳のときの交通事故で障害者になりました。20歳になる前だったので、「20歳前障害基礎年金」を請求します。
Cさん 生まれつき障害があり、給与収入と「20歳前障害基礎年金」で生計を立てています。この年金には所得による支給制限がないので、全額を受給しています。
解説 通常の障害基礎年金の対象者は、障害の原因となった病気やケガの「初診日」に国民年金に加入している人、または「過去に国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の日本在住者」です。受給できるのは、初診日前日までに保険料の納付要件を満たしている方、年金の障害等級1級または2級に認定されている方です。障害者手帳の等級と異なるので、注意が必要です。
一方、生まれつき障害のある方や、子供のころの病気やケガで一定以上の障害が残った方にも、成人後の所得を補うために、「20歳前障害基礎年金」があります。
初診日、障害認定日ともに「20歳前」の方は、20歳になった日の翌月から年金が支給されます。初診日が「20歳前」、障害認定日が「20歳後」という方は、障害認定日の翌月からの支給です。いずれも、年金の障害等級1級または2級の該当が条件です。「20歳前障害基礎年金」と通常の障害基礎年金は同額で、今年度は1級が99万100円、2級が79万2100円です。「20歳前障害基礎年金」が、通常の障害基礎年金と大きく異なるのは、所得による支給制限の規定です。障害基礎年金は、所得が増えても年金額は減額されません。しかし、「20歳前障害基礎年金」は、受け始めた後に前年所得が一定額を超えると、その年の8月から翌年7月まで、年金の全額または半額が支給停止されます。
このため、「20歳前障害基礎年金」の受給者は、現況届を誕生月ではなく、7月末までに提出します。所得審査もあるので、所得の申告を済ませておく必要もあります。
20歳前の傷病により、年金の障害等級1級または2級の障害があると思われる方は、20歳を過ぎてから、市区町村役場の国民年金の窓口、お近くの社会保険事務所などでご相談になり、年金の請求手続きを行ってください。
なお、成人後に受給できることを知った方も、5年前の分までは、さかのぼって一括して受給できます。
【解答】正解はAさんです。
Bさんは初診日が20歳前ですが、既に就職して厚生年金に加入しているので、通常の障害基礎年金を請求します。所得による支給制限があるので、Cさんは間違いです。
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年金教育委員会は年金に詳しい専門家=社会保険労務士=で構成。http://www.e−nenkin.net/でこの出題の補足説明をしています。監修は「年金博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、中野静子です。
(2006/09/19)