産経新聞社

ゆうゆうLife

パートで働く妻、社会保険に加入するか

 【出題】

 夫に扶養されている妻がパートタイマーとして働く場合、厚生年金保険・健康保険、雇用保険に加入するのでしょうか。正しいことを言っているのは誰でしょう?

 田中さん 雇用保険には加入するけど、扶養されているから厚生年金保険・健康保険には加入しなくていいのよ。

 福田さん 希望すれば、どれにも加入できるみたいよ。

 小泉さん 厚生年金保険・健康保険、雇用保険のそれぞれについて、加入する人とそうでない人がいるらしいわ。

 【解説】

 厚生年金保険・健康保険などの社会保険に加入するかどうかは、パートタイマーという勤務形態ではなく、労働時間がどのくらいかによって判断されます。

 まず、厚生年金保険・健康保険に加入する条件は、(1)1日または1週の所定労働時間(2)1カ月の所定労働日数−の両方がおおむね4分の3以上とされています。所定労働時間、所定労働日数のいずれかが4分の3以上というだけでは、加入対象者とならないので注意が必要です。

 企業の労働時間は週40時間がほとんどですから、ほぼ週30時間以上働いていることが目安になるでしょう。

 ただし、これらの条件に該当しない人でも、就労形態や職務内容などを個別に見て、常用的な使用関係があると認められれば、加入対象者とされます。

 雇用保険は労働保険の一部で、主に働いている人が失業したときに失業給付を受けるためのものです。雇用保険の加入条件も、労働時間で決まります。ただし、対象となる労働時間は、厚生年金保険や健康保険と異なり、1週の所定労働時間が20時間以上です。

 以前は週の労働時間が20時間以上30時間未満の人は「短時間労働被保険者」として、一般被保険者と区分されていましたが、10月からこの区分が廃止され、一般被保険者と同様の扱いになりました。

 【解答】

 正解は小泉さんです。パートタイマーでも、日か週の所定労働時間と、月の所定労働日数が正社員の4分の3以上ある人は厚生年金保険、健康保険、雇用保険すべてに加入します。週の労働時間が20時間以上30時間未満なら、雇用保険だけに加入します。厚生年金保険・健康保険と雇用保険のいずれにも加入しないのは、労働時間が週20時間未満の人だけです。したがって、田中さんは間違い。厚生年金保険や健康保険、雇用保険は強制適用で、選択の余地はないので、福田さんも誤り。なお、年齢や事業主の形態などによっては、例外もあります。

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 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http://www.e−nenkin.net/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、南雲哲男(神奈川)です。

(2007/10/02)