産経新聞社

ゆうゆうLife

バイトの解雇告知は何日前?

 ≪出題≫

 楓さんは大学卒業後、1年近く、毎日、コンビニエンスストアでアルバイトをして生活費を稼いでいました。しかし、ある日、突然「人を減らす必要があるから明日から来なくていい」と、言われてしまいました。相談した3人の友人のうち、正しいことを言っているのは誰でしょう?

 秋桜さん アルバイトはいつクビになっても仕方ないよね。社員じゃないから。

 撫子さん たとえアルバイトでも、正社員と同じで、30日前には解雇を予告しないといけないんじゃなかったかな。

 野菊さん 正社員は30日前に、アルバイトは1週間前に予告しないといけないのよ。

 ≪解説≫

 労働基準法では、事業主が労働者を解雇しようとする場合、原則として、少なくとも30日前に解雇の予告をしなくてはならないと規定しています。

 この規定は正社員、契約社員、アルバイト、パートタイマーなど、どんな形態で働いている人にも適用されます。

 事業主が30日前までに解雇の予告をしなかった場合、労働者に対しては30日分以上の平均賃金(約1カ月分の給料程度)を支払わなければなりません。たとえば、「明日から会社に来なくていい」と、即時解雇を行ったときには、解雇の申し渡しと同時に30日分以上の解雇予告手当を支払うことになります。ただし、会社のお金を横領したり、法を犯したりするなど労働者側に明らかに問題があれば、事業主は解雇予告手当を支払うことなく、その日に解雇することができます。 

 また、10日前に解雇予告を行ったならば、20日分の解雇予告手当を支払うことで足ります。解雇予告手当の1日分の額は3カ月分の給料を3カ月間の総日数で割ったものと考えてください。

 この解雇予告の規定は原則、すべての労働者に適用されます。ただし、除外されるのは、(1)試用期間中の人(2)日々雇い入れられる人(3)2カ月以内の期間を定めて雇われている人(4)季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇われている人−です。

 試用期間中の人が14日を超えて引き続き雇われるときや、日々雇い入れられる人が1カ月を超えて引き続き使用されるとき、(3)、(4)の人が所定の期間を超えて引き続き使用されるときは、それぞれ適用されます。

 ≪解答≫

 正解は撫子さんです。事業主にはアルバイトやパートタイマーにも、30日前に解雇予告をするか、30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があります。野菊さんのように正社員とアルバイトで日数が違うということはありません。また、秋桜さんのように、アルバイトはいつでもクビにできる、などということは決してありません。

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 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http://www.e−nenkin.net/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、遊部香(千葉)です。

(2007/10/16)