産経新聞社

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育児休業中の厚生年金の保険料は?

 【出題】5月に出産予定の会社員の桜さん(30歳)は産後1年間、育児休業を取ることにしました。育児休業中の厚生年金の保険料について、出産経験のある友人に相談しました。正しいことを言っているのは誰でしょう?

 桃さん 育児休業中、保険料は払わなかった気がするわ。でも、その分、将来の年金額は減るんでしょうね。

 杏さん 育児休業をしていても、保険料は払わないといけないのよ。

 スミレさん 保険料は払わなかったけれど、年金の額は減らないと言われたわ。

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 【解説】育児休業中(最長、子が3歳になる月の前月まで)、「厚生年金保険」と「健康保険(40歳以上65歳未満は介護保険も含む)」の保険料は免除されます。免除期間は育児休業を開始した日の属する月から、休業が終了する日の翌日が属する月の前月(終了日が月の末日にあたる場合はその月)までです。

 ただし、「免除」は事業主が保険者に申し出をした場合に限られます。お勤めの会社に社会保険に詳しい人がいない場合などは、申し出をしたかどうか、担当者に確認してみると良いでしょう。育児休業に入ってから申し出をしていないことが分かった場合も、育児休業中の申し出なら、休業を始めた月にさかのぼって免除を受けられます。

 その間は、保険料を納めなくても、納めたとみなして将来の年金額が計算されます。たとえば、基礎年金は原則40年(480カ月)分を払わないと、満額受け取れません。しかし、39年分の支払いがあれば、育児休業を取り、1年間保険料を納めなくても、将来、満額の基礎年金を受け取れるわけです。

 「厚生年金保険」、「健康保険」の保険料は、給料に応じて決められた額を、労働者と事業主が折半して払う形になっています。保険料の免除は、労働者だけでなく、会社側にもメリットです。

 また、3歳までの子を育てるために、勤務時間の短縮などで給料が下がってしまった場合などは、事業主経由で「育児休業等終了時報酬月額変更届」を社会保険事務所に出してください。復帰日の翌日の属する月から数えて4カ月後から、保険料は新しい給料に応じた(以前よりも安い)額に変更されます。ただし、将来の年金額は減額前の保険料を納めたとみなして計算がされます。

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 【解答】正解はスミレさんです。育児休業中は厚生年金と健康保険の保険料は免除されますので、杏さんは誤り。年金保険料が免除になっても、その分、年金額が減らされることはありませんので、桃さんも誤りです。

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 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http://www.e−nenkin.net/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、遊部香(千葉)です。

(2008/03/11)