産経新聞社

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失業給付、受給期間の延長は?

 【出題】総務部の笹本さんは退職する社員から、失業給付の受け取りを遅らせることが可能か、質問されています。次のうち、受け取りを遅らせることができないのは誰でしょう?

 吉田さん 病気による退職なので、手続きをすれば受け取りを延長できますよね。

 浜口さん 出産で退職するから、しばらく育児をした後で失業給付を受けたいわ。

 加藤さん 65歳定年退職後、少しのんびりしたいので、受け取りを延長できますね。

 【解説】失業給付を受けられる期間「受給期間」は原則、退職日の翌日から1年間。給付される日数「所定給付日数」は条件により異なります。受給期間の原則1年を過ぎてしまうと、所定給付日数が残っていても受給できません。

 ただし、特別な理由があるときは、受給期間を延長できます。延長が認められるのは、妊娠、出産、育児(3歳未満)、傷病などで、引き続き30日以上、働けない状態となったときで、働けない期間分を延長できます。また、親族の介護や海外勤務する配偶者に同行する場合なども認められます。

 延長期間があっても、受給期間は最長4年間です。延長手続きは、引き続き30日以上働くことができなくなった日の翌日から1カ月以内に、本人または代理人(郵送も可)が「受給期間延長申請書」に延長の理由を証明できる書類、受給資格者証(または離職票)を添えて、住所を管轄するハローワークに申請します。

 なお、60歳以上65歳未満で、定年または定年後の再雇用契約満了によって退職した人が一定期間、求職を希望しない場合も、1年を限度に合計で最長2年まで、受給期間を延長できます。退職日の翌日から2カ月以内に、「受給期間延長申請書」に離職票を添え、ハローワークで延長手続きをします。ただし、離職時の年齢が65歳以上の場合は、受給期間の延長はできません。

 失業給付の延長を希望する場合は、申請期限に注意してください。申請期限を過ぎると、延長は認められません。

 【解答】受給期間を延長できないのは加藤さんです。失業給付の受給期間を延長できるのは、妊娠、出産、育児(3歳未満)、傷病、親族の介護、配偶者の海外勤務に同行、60歳以上65歳未満の定年などによる退職のいずれかに該当するときですから、吉田さんと浜口さんは延長できます。65歳定年退職の加藤さんは高齢受給資格者となり、失業給付の延長措置は受けられません。

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 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は特定社会保険労務士、鎌倉珠美(神奈川)です。

(2008/04/08)