産経新聞社

ゆうゆうLife

契約社員は期間内に退職できる?

 【出題】

 1年間の期間限定契約で働く坂本さん。働き始めて3カ月ほどで、もっと条件のいい会社の求人を見つけました。急に辞めると、会社に迷惑がかかるので、1カ月後に退職させてもらえるよう人事担当者に相談しました。正しいことを言っているのは誰でしょう

 吉田部長 民法に「申し出から2週間で退職となる」とあるから、2週間前に伝えれば大丈夫

 高杉課長 よほどの事情があれば別だが、契約期間が終わるまで退職はできません

 伊藤主任 労働基準法に「30日前に予告しなければならない」とあるので、1カ月前に伝える必要があるね

 【解説】

 3カ月や1年など、雇用期間を限定した契約を「期間限定雇用契約」もしくは「期間の定めのある雇用契約」といいます。いわゆる「契約社員」はこの「期間限定雇用契約」を結んでいる場合がほとんどです。

 退職(雇用契約の解除)に関するルールは、民法などに定められています。期間限定契約の場合は、民法628条に「やむを得ない事由があるときは、各当事者は直ちに契約の解除をすることができる」とあります。今年3月施行の労働契約法17条で「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と規定されています。また、契約から1年経過すれば、「労働者は使用者(会社)に申し出ることにより、いつでも退職できる」とされています(労働基準法附則137条)。

 坂本さんは契約から3カ月しかたっていないので、この附則は適用されません。また、単に条件のいい会社へ転職したいというだけでは「やむを得ない事由」と認められる可能性は低いでしょう。

 一方、正社員など、期間の定めのない雇用契約については、民法627条に「いつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過することによって終了する」とあります。

 会社が一方的な契約解除である「解雇」をする場合については、合理的な理由が要りますが、30日前の予告が必要です。これは雇用期間の定めの有無にかかわらず、同じ取り扱いです。

 【解答】

 高杉課長が正解です。伊藤主任がいう「30日前の予告」は会社が社員を解雇する場合の規定です。吉田部長がいう民法の規定は「期間の定めのない契約」についての考え方です。

                   ◇

 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http://www.psrn.jp/nenkin/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は特定社会保険労務士、桑原和弘(東京)です。

(2008/07/22)