【出題】
茜さんは子供のころ、交通事故に遭い、ひどいけがを負いました。茜さんの国民年金給付で正しいことを言っているのは誰でしょう?
月子さん 国民年金加入は20歳からだから、子供のころのけがでは給付されないわよ。
栗子さん 子供時代のけがでも、20歳になったとき、国民年金の「障害」に当てはまれば、それ以降、もらえるんじゃない?
萩子さん もし、そのけがが30歳で悪化して、国民年金の「障害」に当てはまった場合、年金保険料を納めている人に限って給付されるみたいね。
【解説】
国民年金に加入していない20歳未満で事故に遭ったり、大病などで障害を負った人、もしくは生まれつきの障害があった人も、20歳の誕生日前日に国民年金の障害等級1級か2級に該当していると認定されれば、それ以降、「国民年金」の「20歳前障害の障害基礎年金」が支給されます。
また、20歳時点で障害等級2級に該当しなくても、それ以降、そのけがや病気が悪化し、障害等級1級か2級に該当した場合は、「20歳前障害の障害基礎年金」を受け取れます。
ただし、65歳に達する日の前日までに請求することが必要です。この「20歳前障害の障害基礎年金」の特徴のひとつは「保険料納付要件は一切、問われない」ことです。
ですから、30歳で障害等級2級に初めて該当した人が、20歳以降、納めるべき国民年金保険料を滞納しても、「20歳前障害の障害基礎年金」は受け取れます。
ただ、本来の「障害基礎年金」とは異なる点もいくつかあるので、注意が必要です。たとえば「海外にいる間は支給されない」「前年所得が一定額を超えると、半分もしくは全額支給停止になる」などです。
たとえ、20歳前の事故や病気による障害でも、就職して「厚生年金」に加入している時期に初診日があれば、「20歳前障害の障害基礎年金」ではなく、本来の「障害基礎年金」と「障害厚生年金」を受け取れます。
【解答】
正解は栗子さんです。子供のころのけがでも、条件にあてはまれば「20歳前障害の障害基礎年金」がもらえますので、月子さんは誤り。「20歳前障害の障害基礎年金」は、保険料納付要件は問われないので、萩子さんも誤りです。
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この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http:www.psrn.jp/nenkin/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、遊部香(千葉)です。
(2008/09/30)