産経新聞社

ゆうゆうLife

離職した夫の健保や年金は?

 【出題】

 共働きで、組合健康保険と厚生年金保険に加入している夫婦がいます。

 ある日、夫の啓太さんが「会社を辞めることに決めた!」と言いました。妻の理香さんは自身の収入が見込めるため、生活に不安はありませんが、友人の花沢さんに、失業した夫の健康保険や年金について相談しました。正しいことを言っているのは誰でしょうか。

 啓太さん(夫) 理香の扶養には入れないから、次の仕事が決まるまで、自分で国民健康保険(国保)と国民年金に入るしかないよ。

 理香さん(妻) 退職後は辞めた会社の健康保険へ自動的に継続加入できるし、厚生年金にも加入できるから心配ないわ。

 花沢さん 失業保険がもらえるまで、啓太が理香さんの扶養家族になれば、国保料も国民年金保険料も払わなくて済むだろう!

 【解説】

 会社員は一般に、サラリーマンの健康保険(被用者保険)と厚生年金に加入し、自営業や失業した人などは国保と国民年金に加入します。

 しかし、夫婦共働きの場合、女性の加入する被用者保険に、男性が被扶養者として入ることも可能です。妻の理香さんが被用者保険に加入しているなら、夫の啓太さんは一定の要件を満たせば、理香さんの被扶養者となり、国保料を負担する必要がなくなります。

 年金制度では、理香さんが厚生年金に加入しているので、啓太さんは国民年金の第3号被保険者となり、年金保険料も負担する必要はありません。

 会社などを退職し、健康保険の被保険者資格を失ったときは、一定の条件で被用者保険を継続できる「任意継続被保険者」制度があります。ただし、自動的にこの被保険者になるのではなく、個人の希望で一定期間、加入できます。また、この制度に加入中は、国民年金に加入します。

 なお、失業保険の受給中は被扶養者になれない場合があります。その場合は、失業保険が出ない「給付制限期間」の終了に合わせて国保と国民年金に加入する必要があります。

 【解答】

 正解は花沢さんです。一定の要件を満たせば、夫も妻の扶養家族となれますので、「扶養に入れない」と言っている啓太さんは間違いです。また、被用者保険の任意継続被保険者制度は、個人の希望で利用するものです。また、その際は国民年金に加入するので理香さんも間違っています。

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 この欄は社会保険の制度に詳しい専門家が執筆。http://www.psrn.jp/nenkin/で出題の補足説明をしています。監修は「社会保険博士」北村庄吾、今回の担当は社会保険労務士、佐藤正欣(まさよし)(静岡)です。

(2008/10/21)