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年金 得する年金 未納期間の空白 60歳超でも取り戻せる


 国民年金の満額、約80万円を受け取るには、保険料を40年間、納める必要があります。しかし、長い人生の間には、どうしても納付できなかった時期もあるかもしれません。それが限られた期間なら、60歳を過ぎて埋めることも可能です。では、国民年金の保険料を1年納めると、年金額はいくら増えるのでしょうか。

 大阪市に住むA子さん(60)は昨年、年金の支給開始を前に、社会保険事務所で受給額を調べてもらった。

 A子さんは20歳から8年間ほど繊維会社に勤めた。しかし、5歳年上の夫が今でいう脱サラして地元の商店街で喫茶店を開いたのを機に退職し、夫の店を手伝ってきた。

 開店当初は厳しかった喫茶店の経営も何とか軌道に乗り、65歳になる夫はすでに年金生活。数年後には店を息子に任せたいと考えている。

 繊維会社に勤めていたA子さんは60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できる。事前に社会保険庁から年金の請求用紙が送られてきたので、この機に、この先、年金がいくら受給できるのか聞いてみようと、社会保険事務所を訪れた。

 というのも、喫茶店を始めた当初は経営が厳しく、国民年金の保険料を納めていなかった期間があり、気にかかっていたのだ。

 社会保険事務所で調べてもらったところ、A子さんの厚生年金の加入期間は8年間。本来なら、その後、60歳までの32年間が国民年金の加入期間だ。しかし、厚生年金から国民年金へ切り替え、喫茶店の経営が芳しくなかった当時の保険料3年分が未納になっていることが分かった。

 年金額は60歳、61歳と段階的に厚生年金が支給され、65歳で老齢基礎年金73万2700円と、老齢厚生年金8万4300円の計81万7000円が支給されることが分かった。

                   ◇

 老齢基礎年金の満額は現在、79万2100円。満額を受け取ることができるのは、20歳〜60歳の40年間(480カ月)、保険料を納めた場合だ。

 しかし、A子さんは納付期間が37年(444カ月)で、3年分が未納。未納期間があるのだから、減額されるのも仕方がない。そう思って帰ろうとしたところ、窓口の担当者が「未納期間を取り戻す方法もあるんですよ」と、60歳から任意加入する方法を教えてくれた。

 A子さんの場合、60歳からさらに3年間、保険料を納めれば、納付月数が40年に達する。そうすれば、老齢基礎年金を満額、受給できるわけだ。

 では、任意加入した場合のプラスマイナスはどうだろう。

 19年度の国民年金の保険料は月に1万4100円。毎年度少しずつ引き上げられる予定だが、仮にA子さんが3年間、保険料を納めると、その間の納付総額はおよそ51万円だ。

 これに対して、受け取る年金額はどう変わるか。保険料の納付期間が1年(12カ月)伸びれば、年金は満額の40分の1増える。今なら、年に約1万9800円増えるわけだ。A子さんの場合は3年分だから、65歳からの老齢基礎年金が年に5万9400円増える。年金を8〜9年受給すれば、納付した保険料に追いつく計算だ。

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 A子さんが、自宅で夫や娘に相談したところ、夫は「先のことは分からないので、51万円も納付しなくてもいいのでは…」と消極的な意見。

 娘は「女性は長生きするんだから、今からでも納めて、年金額を増やした方がいいわよ」と積極的だった。

 娘にインターネットで調べてもらったところ、65歳の人の平均余命は男性が18年、女性が23年。仮に3年分の保険料を納めた場合、平均的な余命なら、受け取る年金額は男性で計約107万円、女性では約136万円増える計算。いずれも納める保険料の倍以上の額になることがわかった。

 健康不安はないし、60歳から受け取る年金を、任意加入の保険料にあてればいいか−。そう考えたA子さんはしばらくして、社会保険事務所で特別支給の老齢厚生年金の請求手続きをし、併せて区役所で国民年金の任意加入の手続きも行った。

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【中央年金相談室の話】

 国民年金保険料の未納期間がある人だけでなく、保険料免除や、サラリーマンの妻(第3号被保険者)で、昭和61年4月前に国民年金に任意加入していなかった期間(いわゆるカラ期間)がある人も、60歳〜65歳に任意加入して保険料を納めれば、老齢基礎年金を増やせます。

 任意加入は申請した月からで、保険料は一般の人(第1号被保険者)と同額です。

 ただし、480カ月を越えて保険料を納付することはできず、老齢基礎年金も満額を超えて受給することはできません。また、60歳以降も厚生年金や共済組合に加入している人は、任意加入の対象外です。なお、昭和40年4月1日以前に生まれた人で、未納期間が長く、老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない人は、65歳以降、受給資格期間を満たすまでで、最長70歳まで国民年金に任意加入することもできます。

(2007/03/23)

 

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