「鼻で笑われちゃいました」
4月から、国民年金の学生納付特例の申請を、大学が代行できる。その説明に奔走する、ある社会保険事務局の担当者がこうこぼした。
学校側が笑ったのは、国が学校に支払う手数料の額だ。その額ずばり、1件30円。
学校の事務部門はどこも人手不足。そこに突如、国の仕事を一部代行する話が舞い込んだ。学校側は一様に消極的。「お金の多寡の問題ではない」というものの、あまりに安い金額に「しばし、呆然(ぼうぜん)」といった学校も少なくないようだ。
しかも、この手数料。すべての学校がもらえるわけではない。社会保険庁によると、国と地方公共団体が設置した学校には、公務の一環なので、手数料は出ないというのだ。
今や、学校もサービス向上を狙って、サテライト校舎を構える時代。「特例の申請は本来、国の仕事。社会保険庁も大学に代行を頼むのではなく、学校に受け付けのサテライト(窓口)を設けたっていいのでは?」
国の依頼を皮肉り、ある大学の担当者は社保庁側にこんな逆提案をしたという。
4月スタートの新制度だが、年金特別便の対応に追われ、社会保険庁の学校への説明は始まったばかり。関係者の理解を得るのは、年金記録問題の解決同様、まだまだ時間がかかりそうだ。(横内孝)
(2008/03/28)