うーん、ストレスたまるなあ…。日雇い派遣労働者の問題を取材するたびに、やるせなさを感じる。
理由の1つは前から気づいていた。彼らの多くが35歳未満。私と同世代だということだ。
《就職に失敗、当時CMもやっていた日雇い派遣に登録し、そのままずるずる…》。何度も耳にした軌跡は、私が絶対たどらなかったとはいえない。直視するのがつらい現実なのだ。
しかし、現実に目を背けられない。そう割り切って取材した今回は、やるせなさを感じる別の理由にも気づかされた。
ある大学教授と話したときのこと。「日雇い派遣労働者の生活改善には、労働条件を改善するのではなく、日雇い派遣から抜け出す道を探るしかない」。教授の指摘に、妙に納得した。
「日雇い派遣制度はどうしたら、良くなるのか」と思って取材してきたが、それで救われるのか−。ひそかに抱いていた無力感がストレスの正体だったのだ。
厚生労働省は、派遣制度のあり方について研究会を設置し、日雇い派遣問題についても議論しているが、議論は労働条件の改善に終始する。それでは日雇い派遣労働者らの“卒業”にはつながらない。
取材した彼らの言葉が頭によぎる。《最初は“つなぎ”のつもりだったんだよね…》。“つなぎ”から抜け出せるのはいつか。その道のりを思うと、また疲れがたまるのだった。
(佐久間修志)
(2008/04/18)