産経新聞社

ゆうゆうLife

年金で海外暮らし 友人らが留守宅管理

わがベランダからの風景。リスが木々の間に見え隠れする(立道和子さん撮影)


 大変よ! 新聞がまだ届いてる−。友人からのメールに一瞬ドキッとなった。それじゃあ、新聞が玄関先にあふれ、「ここは留守です」と言ってるようなもんじゃないの。東京の家を出て1週間。ペナンで借りたコンドミニアムでのほほんと海を見ながら、パソコンをチェックしているときだった。一拍おいて「やっぱりね」と思う。

 この新聞は月に数回届かないことがあり、あてにできなかったので、念のため領収証を持ってきていた。その電話番号をメールで、留守を守ってくれている友人に知らせ、さらにもう一人の友人に国際電話をかけて、販売店に厳しく言ってねと頼む始末。

 「ウッシッシ。ナベちゃんは厳しいからなぁ。いつもの調子でガンガン言ってくれると、販売店はグーの音もでないゾ」

 しかし、しようがないなぁ。余計な電話代がかかったじゃないの、と面白がったりケチったりしたが、人間のすることには間違いもある。絶対ということはないと考え、万一の場合に備えなければいけないのだな、と学んだ事件でもあった。

 ピッキンングなど、留守を狙った泥棒が多いこのごろでは、たとえ1カ月とはいえ留守をするときには気をつけなければいけないことが多い。“不在”を告げるものには、新聞以外に、郵便受けに入るたくさんのチラシや郵便物がある。郵便は1カ月以内であれば、郵便局で局留めにしておくと安心だが、チラシの類にはお手上げだ。

 その他、植木の心配もある。チラシや植木は、家族や親しい友人などにお願いし、ペットはペットショップに相談してみること。“フーテンおトラの海外ぶらり旅”と粋がって、東京と海外を行ったり来たりしていたころは、私も郵便は局留めに、植物の世話は友人に週1回の水やりを頼んでいた。

 現在のように1年のほとんどが海外滞在となっては、そうもいかない。自宅の鍵を二重にし、ベランダの植木はあきらめ、チラシや宅配メールなどは管理人にお願いした。郵便物は1カ月を超えると局留めにはできない。そのため出発の前日、都内の友人宅に転居したことにして転出届を出す。戻ると、再び自宅に転入するわけだ。

 セキュリティー会社に依頼する人もいるが、なかなか費用がかさむ。友人と親切な管理人さん。私はこの2人が頼りである。

(旅行作家 立道和子)

(2008/04/30)