産経新聞社

ゆうゆうLife

年金で海外暮らし カードは旅の優れもの

チェンマイのカフェで。両替率によって、1杯50バーツのブレンドが160円だったり、75円だったり


 お金はどんなふうに持っていけばいいだろうか。安全だけを考えれば、クレジットカード2、3枚と、海外のATMでも使える国際キャッシュカード、それにトラベラーズチェックがあればいいが、現地でお得に両替したければ話が違う。

 アジアでは一般に、銀行より両替屋でお金を換える方が“お得”なことが多い。銀行と両替屋とではレートが違うから、まとまったお金を換えるときは、良心的な両替屋を選ぶのが賢明。両替屋では、トラベラーズチェックは歓迎されないことが多い。私はアジアへは現金を優先し、(1)現金(2)国際キャッシュカード(3)クレジットカード2枚(4)米ドルのトラベラーズチェックを持っていく。(1)〜(4)の番号は使い勝手のよい順位でもあり、これだけ用意しておけば、まず安心だ。

 インチキな両替屋にひっかかると、銀行より両替率が悪いこともある。してやられないようにするには、自分の目でしっかり確かめ、甘い言葉にのらないことだ。現地に知人がいれば、信頼のおける店を教えてもらうと安心。いなければ店を回って、レートをよく比較検討してからにしたい。

 私も以前、「おねえさん!」のひと言にひっかかった。若く見られたと錯覚し、すっかりいい気分。警戒心など、どこへやらで、とっさに「この人は正直者だ」と確信。持っていたお金をその店で、全部両替してしまった。帰り際、ふと他の店をのぞいてみて…、口先おやじに「やられたっ!」と気がついた。男性の場合は「シャチョー」と声がかかるらしい。

 オーストラリアでは、トラベラーズチェックはあまり役に立たない。国際キャッシュカードがお得だ。ゴールドコーストでいちばん両替率のいい両替店「キングス」で円の現金を換えるのと、国際キャッシュカードで日本の口座から引き落とすのとでは、どっちの両替率がいいか。同じ日に試してみたら、シティバンクのキャッシュカードが少しお得だった。それなら、現金を持っていく必要がない。

 国際キャッシュカードは、作成時と、銀行によっては海外での引き落としの度に、費用がかかるが、海外滞在には便利な代物。これについては後の機会にご案内することに。

 オーストラリアへ行くなら国際キャッシュカードとクレジットカード。この2種類こそ“旅の優れもの”になる。(旅行作家 立道和子)

(2008/05/14)