産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から 悩ましい保険料の計算

 「保険料の徴収は10月からで、月額で565円というんですよ」。取材に応じてくれた男性の声は、なんとなく弾んでいた。4月から始まった後期高齢者医療制度の保険料のことだ。

 事前取材で男性からは「今までサラリーマンの息子の扶養家族で、保険料を払っていなかった」と聞いていた。私の計算では、保険料は月額300円のはず。だから、男性の言葉には戸惑った。しかし、役場で受け取ったという「保険料試算」には、確かに565円とある。

 後期高齢者医療制度の保険料負担を連載し、保険料の計算には多少、強くなった。「間違っている」と直感したが、その場で指摘すべきかどうか迷った。男性に正式の保険料通知が届くのは7月。今の数値はあくまで試算だからだ。

 その場を辞し、向かった先は県の広域連合。役場の試算に担当者も首をかしげる。どのくらい書類と格闘しただろうか。結局、役場が何の手違いか、減額の計算を間違ったらしいと結論がついた。

 役場が試算を誤るのは想定外。だが、担当者が「われわれにも分かりにくい」とこぼすのも何度か耳にした。広域連合の担当者は早速、窓口に電話し、おわびと訂正を求めていた。担当者に緊張感が求められるのはもちろんだが、分かりにくさに“磨き”がかかっているのは、度重なる減額も一因。対象者にはありがたいが、窓口泣かせの一面を見た気がした。(横内孝)

(2008/06/06)