産経新聞社

ゆうゆうLife

編集部から 聞くは一時の恥

 合算対象期間、第3号被保険者…。年金質問箱の取材を始めて、すぐに音を上げたくなった。聞き慣れない専門用語を前に、取材がはかどらない。質問をし、説明を聞くが、今度は説明の言葉が分からない。再び質問する。まるで堂々巡りだ。ようやく用語の意味がのみ込めたと思っても、今度は記事にする言葉が見あたらない。

 「年金の専門用語は、普通の人には難しすぎるし、不親切極まりない。でも、『分からない』からといって、そうそう質問できるものでもない。恥ずかしいですからね」

 社会保険労務士はそう苦笑した。

 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というではないか。年金は生涯もらえる老後の支え。不親切な行政の窓口もいるだろうが、臆(おく)せず、恥ずかしがらず、まずは質問・相談することだ。知らないほど怖いものはない。自戒を込めてそう思う。(横内孝)

(2008/07/11)