産経新聞社

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編集部から 情報公開が必要な保険外負担

 療養病床などに入院したときのおむつや寝間着って、一体、どのくらいかかるのだろう。こうした保険外負担を取材して、相場表を作りたいと思った。ところが、これがうまくいかなかった。

 情報をHP(ホームページ)上で公開している病院は少数派。であればと、片っ端から電話取材を試みたが、顔が見えないことを警戒されたのか、「百害あって一利無し」とでも思われたか、病院側の口は一様に重かった。

 おむつや寝間着代などの保険外負担の金額については、「社会的にみて妥当適切なもの」と、国のお達しがある。しかし、表現があいまいなため、実際の額は病院ごとの差が大きい。しかも、病院と患者の合意に基づく自由な商取引。行政は“治外法権”をたてにトラブル処理に及び腰。当事者同士の大人の対応に委ねようというのだ。

 双方が対等な関係なら問題ないが、施設需要は高く、療養病床は患者を自由に選べる状況。競争原理は働きにくい。患者の要望に便乗し、十分な情報開示や説明を怠る病院もある。

 双方にとって、保険外の存在感は増すばかり。合意が前提の商取引なら、病院はサービス内容、とりわけ料金の積算理由などを懇切丁寧に説明し、理解を得る必要がある。額が妥当適切と判断している以上、積極的に情報公開し、患者が良い選択をできるよう後押ししてほしい。(横内孝)

(2008/08/22)